KOSMOST編集部が読んだ“おすすめ本”ライブラリー。
微生物が愛らしくなる本を紹介します。
ライブラリー 004
『微生物のサバイバル 1・2』(科学漫画サバイバルシリーズ58)
ゴムドリco. 著 / 韓 賢東 絵, 朝日新聞出版, 2017年3月7日
外出先で時間ができると、本屋をさがしてふらっと入ります。そこは知識の森。ずらり棚にならんだ本の表紙や題名をながめて、気になる書籍は手にとって開き、おもしろいと、つい読みふけってしまいます。(立ち読みはいけませんが……)私にとっては、ある意味、本屋は探検の場所なのです。
本屋では、児童書のコーナーにもよく足を運びます。そこで人気があるのが、学習マンガ。歴史やサイエンスの難しい知識も、たのしいストーリーで伝えてくれます。児童向けではありますが、大人が読んでもおもしろく、内容も充実していて学びになるので、手にとることが多いです。
探検!微生物ワールド
その中でも人気を集めているのが、『科学漫画サバイバルシリーズ』です。好奇心旺盛な主人公の少年が、昆虫や植物など「科学の世界」を、毎回、博士や仲間たちと協力しながら探検し、みずからも成長していくシリーズです。
今回は、微生物の研究をしているチョウ先輩と一緒に、博士が開発した「ナノのサイズになるヒポクラテス号」に乗って、目に見えないほど小さく変身し、微生物の世界をサバイバルします。
土の中や、食品にいる菌に驚きながら、シャワー室にはびこっているカビの菌糸と格闘したり、ビオトープに落っこちたり、多様な微生物の世界をおもしろがりながら、振り回されながらも続いていく冒険の旅。
そして、最後はいのちを助ける微生物にたどり着くのです。
この本の特長は、ドキドキする話の展開はもちろんのこと、途中で入っている「サバイバル科学知識」というコラムも魅力です。微生物について写真とともに、分かりやすく解説されています。コラムをあわせて読むことで、あらためて、微生物についての情報をまとめて知ることができます。
人間も微生物も、多様性に富んでいる!
もうひとつ特筆すべきは、登場人物たちのキャラクターの濃さでしょう。
新しいもの、冒険と聞くと、つい前のめりになってしまう主人公のジオや、微生物オタクなチョウ先輩、頼まれていないのに掃除してしまう潔癖症のケイに、ペットを助けたい心優しいジュリ、そして科学の世界を知るために偉大な発明をつぎつぎとおこす、ひげを生やした貫禄のあるノウ博士……。
微生物もいろいろ、そして人間もいろいろ。本屋でさまざまな知識や物語に出会うように、多様性を楽しんでいきたい、と思うのでした。
【微生物とよく暮らすKOSMOSTライブラリー:バックナンバー】
001:『見えない巨人―微生物』
002:『細菌ホテル』
003:『マイクロバイオームの世界――あなたの中と表面と周りにいる何兆もの微生物たち』
004:『微生物のサバイバル1・2』 (現在の記事)
005:『日本発酵紀行』
006:『腸と脳──体内の会話はいかにあなたの気分や選択や健康を左右するか』
007:『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』
008:『ととのう発酵』ディスカバー・ジャパン2021年7月号
009:『もやしもん』
010:『最終結論「発酵食品」の奇跡』
011:『世界一やさしい!微生物図鑑』
012:『腸を鍛える―腸内細菌と腸内フローラ』
013:『図解でよくわかる 土壌微生物のきほん: 土の中のしくみから、土づくり、家庭菜園での利用法まで』
014:『土と内臓―微生物がつくる世界』
015:『ノーマの発酵ガイド』
016:『生物と無生物のあいだ』
017:『発酵の技法 ─世界の発酵食品と発酵文化の探求』
018:『人体常在菌のはなし ── 美人は菌でつくられる』
019:『生物から見た世界』
020:『麹本: KOJI for LIFE』