日本列島には毎年、梅雨のシーズンがやってきます。太陽がなかなか顔を見せないこの季節、体調を崩しがちで苦手という人も多いと思います。ホリスティック・ウェルネス・アドバイザー、星宏美さんの今回のコラムは、そんな梅雨を健やかに過ごすための中医学的なポイントについてのお話です。
中医学では、梅雨はどんな季節?
今年も梅雨のシーズンがやってきました。
二十四節気では、今年は6月5日が「芒種(ぼうしゅ)」、また同じく古い暦の雑節では6月11日が「入梅(にゅうばい)」となります。この「芒種」とは田植えが始まる頃、「入梅」は梅雨の始まりを指します。
以前のコラムでもお話ししましたが、中医学では、五行といって、さまざまな自然現象が「木・火・土・金・水」の5つのグループに分けられると考えられています。
この五行説によると、このうちの「土」にあたる季節が梅雨。五行色体表には「土用」と記されていますが、日本に当てはめると梅雨の頃となります。じっとり蒸し蒸しする季節です。
雨が続くことで、からだが重く感じられたり、体内の水の巡りが滞ってむくんだり、お腹の中がチャポチャポするような不調を感じやすくなる時期といわれています。
梅雨の時期は、「胃」と「脾」に気配りを
この「土」の季節に影響を受けやすい臓腑には、「胃」と「脾(ひ)」があります。
中医学では、「胃」は、食べものを消化し、「気血水」の原料をつくる場所と考えられています。「気血水」とは、「気」「血」「水」の3要素のこと。「気」は生命活動を営むエネルギー、「血」はいわゆる血液、「水」はリンパ液などの体液などを意味します。この3つが過不足なく、体の隅々までめぐって、順調に流れている状態を「健康」と考えます。
この原料が運ばれる先が「脾」であり、ここで「気血水」に変換されます。そして、「血水」はそのまま血流に乗り、「気」は肺を経由してからだ中を巡ります。また、「脾」は、血管から血液がもれないようにする役割も果たしているといわれています。
西洋医学では、膵臓は、血液を蓄えたり、リンパ球の生成や異物の処理、免疫に関する働きをする場所といわれます。中医学の「脾」と共通する役割があることにおもしろさを感じますね。
梅雨の時期は、「脾」がしっかり活躍してくれるように、「胃」の調子を整えましょう。
じめじめした時期を健やかに過ごすために
そして、もうひとつ注目したいのが、五行色体表にある「五悪(ごあく)」といわれる病気になりやすい気候のことです。この「五悪」には、梅雨のような湿気の多い時期が含まれます。
梅雨の時期に「胃」や「脾」を健やかに保つために、食べ過ぎ・食べなさ過ぎに注意しましょう。また、お腹を冷やしやすかったり、からだがむくみやすかったりする人も体調を崩しやすくなるので気をつけてください。
また、「胃」の調子が悪いときは休めてあげることも大事。まったく食べないと「気血水」の原料がつくれないので、お粥のような消化のよいものを食べたり、白湯を飲んで消化力を高めるのもよいでしょう。「胃」や「脾」を元気にしてくれるイモ類などの食材を選ぶのもおすすめです。
次回からは梅雨の時期にとりたい食材やからだを整えるストレッチなどについて、お話ししていこうと思います。
> 関連情報 「中医学的に考える、梅雨に選びたい食べもの」