せかいのこと
2024.03.28

[梶原有里、世界への窓 第6回] 小学校時代に夢中になった水泳競技とオリンピックへの夢

梶原有里・梶原悠未・水泳競技・オリンピック

自転車トラック競技で活躍中の梶原悠未さん。2021年は東京五輪・世界選手権・チャンピオンズリーグに出場し、日本だけでなく世界に活動の場を広げています。欧州と日本を拠点にトレーニングを行っています。23年5月の全日本選手権では5種目優勝、6月アジア選手権では4冠を達成しました。24年夏・パリの金メダルを目指して、日々、厳しいトレーニングを重ねています。その母であり、マネージャーとして食事の管理などに携わる梶原有里さんの連載の第6回目。今回からは数回にわたり、悠未さんがどのようにして「オリンピック」を意識し、世界的なアスリートを目指されていったのかについてのお話です。(2022年8月26日公開、2024年3月28日更新)

 


 [ 梶原有里、世界への窓 第6回 ] 
小学校時代に夢中になった水泳競技とオリンピックへの夢


 

私の子育てにおける大前提として、「子どもの可能性は親が勝手に決めないこと」があります。親だからといって、子どもがどのような可能性を秘めているのかをすべて把握できるわけではありませんよね。

ですが、親は子どもにいくつもの道筋があることを示したり、子どもの知らない可能性へと導いてあげることはできます。小さい頃から悠未にいろいろな習い事をさせていたのもそのためです。スキーやピアノなど様々な体験をする中で、本人が「楽しい」「もっと頑張ろう」という気持ちになれること。悠未にとっては、そんな夢中になれることが「水泳」でした。

梶原有里・梶原悠未・水泳

 

悠未から「オリンピック」というキーワードが最初に出たのは、小学校6年生の卒業式でした。そこで「私の夢」というテーマでみんなの前で発表する場面がありました。そこで「北島康介選手みたいにオリンピックで金メダルを取ります」とはじめて公言したのです。

また、悠未には当時、トランポリン競技をやっていたお友だちがいて、お互い別々の中学に行くことが決まっていました。その子へ伝えた悠未の言葉も「オリンピックで会おうね」でした。ちなみにこのお友だちは、先日おこなわれた悠未のレースを観に来てくれて、悠未に「本当に夢を叶えたね」と言ってくれたそうです。

 

梶原有里・梶原悠未・小学生

 

私は「夢を語る」ことをすごく大切にしています。悠未が小学校にあがる前から、普段の会話でも「何がしたいか」「どうなりたいか」を語らせていました。「叶わないから夢を語らない、ではなくて、夢は語っていれば叶う。だから自分が今どのレベルにあるかは関係なく、こうなりたいと思ったらやっていいんだよ」と。

悠未は小学校4年生の頃から中学校2年生まで、水泳競技で全国大会への出場を続けていました。ただ悠未は、レースや大会でタイムがよくなかった時に、いくら反省をしても「何がいけなかったのか」が全くわからないことが多かったようです。水泳はタイム競技であり、ずば抜けた成績を出さないと世界にいくのはなかなか難しいもの。そのことに悠未も段々と気づきはじめました。

そして中学校3年生の時、悠未は全国レベルの大会に出場ができませんでした。大きな挫折を味わった悠未は精神的にまいってしまい、そのショックから1、2ヶ月立ち直ることができませんでした。そんな悠未に私は「これまで水泳を頑張ってきたことは、それはとっても素晴らしいこと。決して否定してはいけないよ」と励ましつづけました。

 

梶原有里・梶原悠未

 

次回のコラムでは、悠未がいかに挫折を乗り越え、自転車競技の道を歩みはじめたのかについて、お話していきたいと思います。

 

執筆:梶原有里 / Kajihara Yuri  

プロフィール

梶原有里・悠未・プロフィール写真

自転車競技で活躍中の梶原悠未選手の母であり、マネージャー。2児の母として子育てに取り組むとともに、長女、悠未さんのサポートを通じてスポーツ・マネジメントを学ぶ。現在は、悠未さんのマネージャーとして、練習のサポート、取材の対応、そして毎日の食事の管理に携わる。スポーツフードマイスター。アスリート栄養食インストラクター等の資格を取得。JADP認定メンタル心理上級カウンセラー。

https://www.twitter.com/ 

https://www.instagram.com/yurikajihara/

 

 

 

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[梶原有里、世界への窓 第2回] マネージャーとして母として“食の大切さ”を思う日々
[梶原有里、世界への窓 第3回] 世界的アスリートの子育てポイントは「体験」と「興味」
[梶原有里、世界への窓 第4回] 世界的アスリートを育てた食事法
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【梶原有里 イベント・レポート】
自転車アスリートの食事を梶原有里さんに学ぶ ~KOSMOST発酵ダイアログJANレポート

 

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KOSMOST 編集部

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KOSMOST編集部。2020年10月22日に創刊。おいしいこと、からだのこと、うつくしきこと、微生物のこと、おなかのこと、せかいのことをめぐる情報をつうじて、みなさまがウェルネス豊かなライフスタイルをおくれますように! -------- Q. ウェルネスのために心がけていることは? → A.いろいろな方々との発酵ダイアログから、新しいアイディアをうみだすこと! 🦠 KOSMOST編集部の記事一覧

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