ウェルネスを豊かにしていくためには、私たち人間の見えないパートナーである微生物たちをもっとよく知ること(知菌)、上手に付きあっていくこと(育菌)がとても大切だとKOSMOSTは考えています。そこで、この「知菌・育菌しよう」シリーズでは、私たちの腸内にすむ細菌やその環境に着目して、ぜひ知っておきたい情報をお届けします。
腸内フローラ・バランスをチェックする方法とは?
前回のコラムでは、腸内フローラは年齢とともに変化すること、よりよい腸内フローラのために気をつけたい毎日の食生活のことなどを紹介しました。ここで気になるのが、現在の自身の「腸内フローラ・バランス」です。誰もが簡単に腸内環境をチェックできることをご存知でしょうか?
その方法とは、ずばり「便の観察」です。便は腸内の状態をあらわす健康のバロメーター。善玉菌や悪玉菌のバランスも、便を観察すれば把握できます。次の3つの観点に着目して、あなたの腸内環境を確認してみましょう。
バロメーター その1:便の「形」
まずは便の形に注目してみてください。悪玉菌優位をあらわす泥状(下痢)や、極端にコロコロとかたい状態(便秘)になっていませんか? バナナ状や半練り状の形の便は、腸内環境が善玉菌優勢のバランスのよい状態を意味しています。
バロメーター その2:便の「色」
次のチェックポイントは便の「色」です。一言でいえば「黄色」に近いほど善玉菌優位の状態、「黒色」に近いほど悪玉菌優位の状態をあらわします。黄色の方がよりよい腸内環境状態といえるでしょう。
なぜ黄色い便だと腸内環境がよいといえるのでしょうか?
そもそも便の色は、「ビリルビン」という胆汁から出る色素が深く関係しています。この色素は腸内のpH(酸性、アルカリ性、中性)によって変化し、酸性に近づくほど黄色に、アルカリ性に近づくほど黒色になる特徴があります。じつは、善玉菌は酸性であるほど繁殖しやすく、反対に悪玉菌はアルカリ性になるほど増えやすい傾向をもちます。このような理由から、黄色の便は腸内が酸性であり、善玉菌優位という好ましい状態をあらわしているというわけです。
バロメーター その3:便の「におい」
最後は便の「におい」です。これまでに強烈なにおいのする便が出たことはありませんか? この悪臭は、腸内の悪玉菌によって分解されるインドールやスカトール、硫化水素などの成分が原因です。いいかえれば、悪玉菌が優位になるほど悪臭も強くなります。
ちなみに、動物性タンパク質を過剰に摂取すると、腸内環境は悪玉菌が繁殖しやすいアルカリ性に傾くといわれています。「肉食過多になると便のにおいがキツくなる」とよくいわれるのは、腸内環境が悪玉菌優位になっていることが原因だったのですね。
いかがでしたか。このように、便は、からだが日々発しているメッセージでもあります。便を通じてからだとの対話を重ね、よりよいウェルネスを目指しませんか? 次回は、多くの女性が悩みを抱えているといわれる便秘と腸内細菌バランスの関係について、お話していきます。
【バックナンバー】
知菌・育菌しよう① 腸は「第2の脳」~小腸・大腸の長さは?働きは?~
知菌・育菌しよう② 腸の中にお花畑!? 腸内フローラとウェルネスの関係
知菌・育菌しよう③ 年齢とともに変化する腸内フローラ・バランスをより良い状態にするには
知菌・育菌しよう④ 便は健康のバロメーター ~形・色・においで腸内フローラ・バランスをチェック (現在の記事)
知菌・育菌しよう⑤ 軽視していませんか? 便秘のもたらす健康リスク
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