おいしいこと
2020.10.04

余ったご飯でつくれる「お米酵母」~“はっこうちゃん。”の発酵あそび(読了時間 : 4分)

炊いた白米

発酵現象は微生物がおりなす芸術だと感じている発酵研究人、“はっこうちゃん。”が、発酵を通じて微生物の魅力を語る発酵エッセイ。第1回目は、残った冷やご飯でつくれるお米酵母についてです。

発酵こそ、私のライフワーク

食べることへの飽くなき関心を私はいかに育んできたのでしょうか?
赤ん坊の時から腸内細菌のエサであるオリゴ糖を含む母乳をたくさん飲んで育ち、物心ついた頃には毎朝お味噌汁をいただき、大人になってからはワインの美味しさに目覚めたり。私は発酵とともに生きてきました。

それを確信したのは2007年、パリで暮らしていた時のこと。仏料理のバックボーンとなっているチーズ、ワイン、パン、ビネガーに魅了されるとともに、慣れ親しんだ日本伝統の食文化に共通する「発酵現象」に、とてつもない魅力を感じたのです。

私にとって発酵は、学べば学ぶほど深いテーマであり、一生関わっていきたいと思っています。発酵とは、微生物のはたらきにより、物質が人間に有益なものに変化する現象のこと。でも、人間本位の視点だけでなく、微生物への敬意も忘れないようにしたいものです。

冷やご飯を使っておなかにやさしい酵母をつくる

第1回目は、私たちの食の柱であるお米を使った発酵あそびを紹介します。少しの手間を加えるだけで、お米と米麹からプクプクと元気な酵母(イースト)がつくれます。

このお米酵母は、これまでに果実、野菜、野草、穀類などから酵母づくりをしてきた中でも、なかなか秀逸だと思っています。なぜなら、その理由は……

●日常使いのお米を使うので、気合を入れて材料を準備する必要がない。
●継ぎ足しでつくれるので手間がかからない。
●自然発酵でつくる酵母の中ではパンの膨らみが比較的安定していて、失敗が少ない。
お米酵母で焼いたパンは体と馴染みがよいようで後味がよい、などなど。

ドライイーストの代わりに入れてパンを発酵させたり、漬け汁のベースに使ってやわらかいお肉料理をつくったり……。
お米酵母は、無駄になりがちな冷や飯がおなかに優しい発酵メニューになるという生活の知恵でもあるのです。

お米酵母の手作りレシピ

それではさっそくお米酵母のレシピをご紹介しましょう。仕込み時間はわずか10分。ただし、2回にわけて仕込むので3〜5日かかります。少し手間がかかるのは最初だけ。あとは継ぎ足しながらずっと使うことができます。

お米酵母

[用意するもの&材料]

蓋つきガラス瓶(400〜500mlが目安)…1個
冷や飯…80g+20g(白米でも玄米でもよい)
生米…20g
米麹…60g+20g

[つくり方]

1. 瓶に冷や飯(80g)、生米(20g)、米麹(60g)、水(200ml)を入れ、常温で2日ほど置く。瓶内発酵が始まり、酵母液ができる。上の写真は仕込んだばかりの状態です。
2. 2~3日経って蓋をあけてみる。少しシュワシュワしたら、冷や飯(20g)、米麹(20g)を加え、常温で1日置いて、酵母のできあがり。冬は発酵速度が遅いので1日多めに置くとよい。

●酵母を使って残り1/3くらいまで減ったら、冷や飯、麹と水100mlを継ぎ足して、使い続けることができます。
●発酵が足りないと感じた時は、冷や飯と麹を適量加えて。
●しばらく使わない時は瓶を冷蔵庫に入れておき、使う時に常温に戻して、蓋を一度あけてから閉めて1日置くと元気な酵母になります。

発酵生活を心地よく楽しむための心構えは?

自然発酵の醍醐味は正解がないこと。毎回発見があることです。教科書通りのレシピを再現することよりも、自分の心地よい味を目指してあそぶことをおすすめします。
また、発酵度合も千差万別。仕込んですぐに発酵しなくても、焦らず見守って。自分のリズムにあわせて発酵と付きあうとよいと思います。

忙しくて頻繁に発酵度合を確認できない場合には、常温と冷蔵庫を上手に使い分けて発酵スピードをコントロールするのもコツのひとつ。

発酵は、見えない微生物の存在を感じる瞬間。ぜひ、ふだんの生活の中で発酵の魅力を楽しんであそんでください。

次回は、お米酵母を使った自然発酵パンづくりのコツをご紹介します。

 

>関連情報こんなところにも乳酸菌!①「発酵」と「腐敗」はどう違う?

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はっこうちゃん。

KOSMOST副編集長。発酵現象は微生物がおりなす芸術だと感じている発酵研究人。原点は「食べることが好き」。食のワークショップだけでなく、美と健康に関わるグローバル企業にてブランディング、マーケティングに長年従事した経験を活かして、「発酵」を思考起点とするブランディング、ライフスタイルを探求している。------- Q. 腸をよりよくするために、気をつけていることは? → A.一日のうち12時間は腸を休めてあげる(何も食べない)、常温の水を飲む  Q. 腸活で気になっていることは? → A. 足、腸、脳の相互連携。

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