#発酵研究人、“はっこうちゃん。”が、発酵を通じて微生物の魅力を語る発酵エッセイが久しぶりの登場です。今回のテーマは、日本人が大好きなおにぎり文化について。あの心なごむおいしさには、お米と発酵のとても密接な関係が隠されているのですね。
日々のくらしで実感する、お米と発酵の相性の良さ
朝食にいただく温かいごはん、納豆、味噌汁。そしてぬか漬けや梅干。わがや定番の和食メニューに関わっている発酵微生物たちがたくさんいます。麹菌、乳酸菌、納豆菌、酵母など。目には見えないけれど、くらしの活力を微生物たちにいただいています。お味噌やぬか漬けは米麹や米ぬかを使って発酵しているので、米との親和性は言うまでもありません。大豆と米の相性はどうでしょうか? 栄養学的には、生命の維持に必要な必須アミノ酸を補完しあう関係にあります。米に少量しか含まれていないリジンを大豆は多く含んでいたり、その逆でメチオニンは米に多く含まれていたりします。
先日、”おにぎりアクション2021” のオープニング・セレモニーに参加し、はっこうちゃん。の発酵おにぎりを紹介してきました。これは、おにぎりを食べてSNSに投稿すると、世界のこどもたちに給食が届くという、TABLE FOR TWO というNPOが推進する試みです。暮らしの一部になっているおにぎりについて改めて考えてみると、おにぎり文化とウェルネスの関わりも見えてきました。
暮らしの微生物のウェルネスマガジン&ダイアログKOSMOST(こすもすと)副編集長、” #はっこうちゃん。 ” が、オープニングに参加させていただきました。この日どんな #発酵おにぎり を作ったのか?またコラムでご紹介していきます。
世界食糧デーを機に、食とウェルネスを考えよう。 https://t.co/3h2bLbIs0o— KOSMOST🦠くらしと微生物のウェルネス マガジン&ダイアログ (@kosmostwellness) October 8, 2021
発酵×うるち米で広がる、おにぎりの世界
世界各地で米がつくられていますが、おにぎり文化は日本独特ですね。インスタグラムで #onigiri のハッシュタグを見てみても圧倒的に日本発の投稿が多いです。その理由は主に2つあると思います。まずは米の品種。おにぎりに欠かせない、あの微妙なもちもちの正体はジャポニカ種うるち米で、世界ではマイナーな品種で、最も生産されているのはインディカ種ですが、触感もパサパサしていて、食べ方も異なりますよね。
2つ目に、発酵。おにぎりの具には保存性と味のバリエーションが必須ですよね。焼きおにぎり、おかか、炊き込みご飯、いくら漬に使われる醤油は、日本の国菌である麹菌由来です。味噌とみりんで甘辛の具も美味しいですね。たとえば、畑のゴーヤを味噌とみりんで炒めておにぎりを作ってみたら、美味でした。今度は味噌と酒粕で漬物をつくってみたいと考えています。発酵万歳。
実は多湿型気候のアジアは麹文化圏ですが、普及している麹のタイプが国によって異なります。日本は米麹に代表されるバラ麹(散麹)といって、粒単体に麹菌が生えている形状です。中国では餅麹といって、穀物が塊状になって発酵し、関わる微生物も異なります。米の品種×麹菌ゆらいの発酵食品が、独特のおにぎり文化を醸成しています。
おにぎり特有の腸活!?レジスタントスターチの存在
温かいお米より冷えたお米に多く含まれるレジスタントスターチと呼ばれる、難消化でんぷんの存在を知っていますか?このでんぷんの特徴は、小腸での消化・吸収を免れるため、大腸まで届くことです。レジスタントスターチは大腸内で発酵して、乳酸菌の増殖を助けるなどのプレバイオティックスの効果も期待されると言われています。おにぎりをとり入れることで、腸活も多様的になりますね。
参考文献・サイト
なるほど!米の新発見|【全農公式】「NO RICE NO LIFE PROJECT」 (noricenolife.jp)
世界の米の生産と米の種類 _04-08w.pdf (komenet.jp)
改訂 日本 食 品 ア ミノ酸組 成表 につ いて ja (jst.go.jp)
お米と大豆は名コンビ - 食育と授業 | 学びの場.com (manabinoba.com)
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