乳酸菌サプリにはどんな成分が含まれているの?
毎月23日は、2(ニュウ)と3(サン)で乳酸菌の日。この記念日にちなんで毎月、乳酸菌にかかわるトピックスをとりあげています。今回ご紹介するのは、前回に引き続いて乳酸菌の「サプリメント」についての基礎知識。サプリメント選びでも一番気になる「成分」についてのお話です。
最近、乳酸菌飲料やサプリメントの表示に、乳酸菌のタイプを示す「○○株」や「○○乳酸菌」といった文字をよく見かけます。じつは「乳酸菌」という名はおおまかな総称であり、実際にはさまざまな種類があります。また、同じ種類でもさらに細かい“ファミリー”のような分け方があって、これを「株」と呼んでいるのです。
乳酸菌に期待できる効果は前回ご紹介したとおりですが、その効果も「株」など乳酸菌のタイプによって若干違いがあります。気になる方は、サプリメントの説明書きなどでチェックしてみるとよいでしょう。「○○乳酸菌」という呼び名も、「株」と同じような意味で使われている場合が多いようです。乳酸菌の仲間については、KOSMOSTの別のコラムで詳しく紹介していますので、興味のある方はぜひ参照してみてください。
乳酸菌のタイプで気になるのが「生菌」or「死菌」
さて、乳酸菌のタイプでもうひとつ気になるのが「生菌」か「死菌」かということでしょう。「生きたまま腸に届く」というキャッチフレーズをよく見かけるように、最近では「生菌」を訴求したサプリメントが増えてきました。確かに生きた乳酸菌が腸内で働いてくれれば期待できる効果も大きそうです。
けれども、ぜひ知っておかなければならないのは、たとえ体外から取り込まれた乳酸菌が生きたまま届いたとしても、腸内に長い間は居着くことはできないということ。
細菌の世界はとても複雑な共生関係のもとに成り立っています。そこによそ者が入り込んでも生き延びることは容易ではありません。たとえば草原で暮らす生きものが熱帯雨林では生きていけないのと同じことなのです。
一方、乳酸菌は、たとえ生きていなくても十分な効果が期待できることがわかっています。それを考えると、「生きたまま」にあまりこだわる必要はないように思います。
乳酸菌サプリの選び方のコツ
乳酸菌のようなからだに有用な生きた微生物や、それを含む食品をとることを「プロバイオティクス」といいます。この言葉も、サプリメント選びではよく目にするキーワードですね。また、こうした微生物の成長を助ける(エサなど)成分をとることを「プレバイオティクス」、微生物たちが生産する有用成分をとることを「バイオジェニックス」と呼んでいます。
乳酸菌サプリメントには、乳酸菌以外にもさまざまな成分や微生物が含まれているものがあります。これらの内容物で見かけるオリゴ糖や食物繊維は腸内細菌の大好物であり、これはプレバイオティクス的な成分を加えたもの。
また、乳酸菌が生産した物質を含むサプリもあり、こちらはバイオジェニックスといえますね。
このように乳酸菌のことをいろいろ調べていくと、身近な菌であるはずなのに意外に知らないことばかりであることに気づかされます。私たちのからだのこと、腸のこと、そして微生物のこと。そこに意識を向けるきっかけづくりに、乳酸菌サプリメントを始めてみるのもよいでしょう。
参考文献・サイト
公益財団法人 腸内細菌学会/(旧)日本ビフィズス菌センター
https://bifidus-fund.jp/index.shtml
「人の健康は腸内細菌で決まる!」光岡知足/技術評論社 2011年
【バックナンバー】
こんなところにも乳酸菌!①「発酵」と「腐敗」はどう違う?
こんなところにも乳酸菌!② 個性的な風味の秘密は「くさや菌」
こんなところにも乳酸菌!③ 癒される甘さ、夏の終わりに甘酒
こんなところにも乳酸菌!④ 牛たちも大好き、牧草の漬物
こんなところにも乳酸菌!⑤ お寿司のルーツをたどっていくと……
こんなところにも乳酸菌!⑥ そもそも「乳酸」とはなに?
こんなところにも乳酸菌!⑦ 乳酸菌はからだのどこにいる?
こんなところにも乳酸菌!⑧ 乳酸菌サプリの気になる最新事情①
こんなところにも乳酸菌!⑨ 乳酸菌サプリの気になる最新事情② (現在の記事)
こんなところにも乳酸菌!⑩ ご当地自慢! ローカル乳酸菌飲料
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