おいしいこと
2022.04.28

パンだけではない!お米酵母で遊ぶ、おうちごはんレシピ 〜“はっこうちゃん。”の発酵あそび。

腸活・お米酵母・麹酵素

発酵研究人、“はっこうちゃん。”が、発酵を通じて微生物の魅力を語る発酵エッセイ。以前に載せて好評だったお米酵母シリーズの第2弾です。おうちで手軽につくれて、いろいろな料理に活用できるお米酵母。ぜひ試してくださいね。

 

お米酵母の発酵段階を見極めて、レシピを考える

米麹とお米と水。これらをビン詰めして常温発酵させると、イーストの代わりにも使用できる「お米酵母」が出来上がります。 

お米酵母の味は日々変化していきます。ですから、観察と味見を通して、遊び方を見極めることが大切です。酵母は仕込んでから数週間で様々な味になっていきますが、味のプロセスには、大きく分けて3段階あります。それぞれのステップにあわせて、相性のよいレシピを選んであげると、お米酵母の可能性は広がります。 

お米酵母が生きている!と思う瞬間は、瓶を開けたとたんにシュワシュワとしている時です。このタイミングでは、イーストとして使用するとふわふわと膨らむパン作りが可能です。自家製酵母と言えば、パン作りを思いうかべる方も多いかもしれませんが、実は多様な活用法があるのです。

腸活・お米酵母・麹酵素

 

第1段階:仕込んで間もないタイミング 
仕込んで数日後のお米酵母は、甘酸っぱい味がします。お米と米麹ならではの優しい甘みとさわやかな酸味が特徴的です。 
 
第2段階:酵母が一番元気なタイミング 
さらに発酵が進みシュワシュワと泡を出す元気なお米酵母からは、ほのかな甘みと有機酸によるやわらかい酸味が感じられます。 
 
第3段階:優しい酸味がたってくるタイミング 
シュワシュワが落ち着いた後、しばらく瓶内発酵を続けると、酢酸菌優位の酸味がしていきます。優しいお酢といった感じでしょうか。 

 

お米酵母の面白さは、米麹由来の発酵食品の中でも甘みが突出していないことです。酵母液に含まれる麹配分が麹甘酒やお味噌に比べて低いので、甘み中心の麹の楽しみ方ではなく、甘さ控えめのおうちごはんにも活用できます。 

それでいて嬉しいのは、生きた麹酵素が含まれていること。分解作用が進み、お米単体の栄養素よりも多様なアミノ酸や有機酸など腸活に期待できる要素が含まれています。

 

腸活・お米酵母・麹酵素・レシピ

お米酵母を使って、前菜もメインも楽しめます

先ほど紹介した「お米酵母の3段階」を気にしながら、おうちごはんのレシピ・デザインをしてみましたので、紹介します。 

 

第1段階:甘酸っぱいお米酵母を使ったレシピ 
”水”や”日本酒”を料理に使うかわりに、甘酸っぱい第1段階のお米酵母を代用することで、旨味を高めたり、味を深めたりする方法です。 
 
・ダブルお米酵母のから揚げ 
〇お米酵母液:醤油=3:1で漬け汁を作り、から揚げにしたい鶏肉などを数時間漬けこんでおきます。この時に好みで生姜やニンニクを加えても美味しいです。 
〇お米酵母液と片栗粉を混ぜて、衣として使います。さらっとカリっとから揚げが仕上がります。 
 
・お米を炊く 
〇炊飯器でお米を炊く時に、1合に対して、大匙1のお米酵母液を加えて炊くとほんのり甘く炊き上がります。 

 

第2段階:シュワシュワしているお米酵母を使ったレシピ 
もう少し発酵が進んだ第2段階のお米酵母を使って、自然発酵ならではの微炭酸を活かすレシピです。 

パンづくりこちらのコラムをご覧ください)
 
・お米酵母カクテルも 
〇シュワシュワをそのまま小さなグラスに注いで楽しんでもよいし、リンゴジュースと割っていただくと、甘酸っぱい贅沢なノンアルコール・カクテルになります。 
 

第3段階:優しいお酢のようなお米酵母を使ったレシピ 
さらに発酵したお米酵母を、”米酢”や”果実ビネガー”を料理に使うかわりに、代用します。きちんと酸味はありながら、どこか柔らかさを感じる仕上がりになります。 

・酢の物 
お酢の代用品として使えるので、おススメです。 

・ドレッシング 
お米酵母液とオリーブオイルを1:1にして、お好みの量の塩分を加えれば、サラダドレッシングとして大活躍します。 

 


お米酵母は段階ごとに、どういう料理や味を目指して使うかが異なります。自家製のお米酵母ならではの楽しさですね。お米酵母は余ったご飯を作って作ると効率的ですから、タイミングをずらして、何本か仕込んでおくと楽しいですよ。また、たくさん仕込めた時は一部を冷蔵保存しておき、使うタイミングに合わせて常温発酵させる方法もあります。 
 
お米酵母で腸活フルコースも可能ですね。今回ご紹介したのはアイデアの1部です。これからも、お米酵母の味を観察しながら、無限の楽しみ方を探り続けたいと思います。 

 

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はっこうちゃん。

はっこうちゃん。

発酵現象は微生物がおりなす芸術だと感じている発酵研究人。原点は「食べることが好き」。食のワークショップだけでなく、美と健康に関わるグローバル企業にてブランディング、マーケティングに長年従事した経験を活かして、「発酵」を思考起点とするブランディング、ライフスタイルを探求している。 -------- Q. 腸をよりよくするために、気をつけていることは? →A. 一日のうち12時間は腸を休めてあげる(何も食べない)、常温の水を飲む   Q. 腸活で気になっていることは?  →A. 足、腸、脳の相互連携 ------- 🦠注目のコラム →余ったご飯でつくれる「お米酵母」~“はっこうちゃん。”の発酵あそび ------- 🦠 はっこうちゃん。の記事一覧

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