ウェルネスを豊かにしていくためには、私たち人間の見えないパートナーである微生物たちをもっとよく知ること(知菌)、上手に付きあっていくこと(育菌)がとても大切だとKOSMOSTは考えています。そこで、この「知菌・育菌しよう」シリーズでは、私たちの腸内にすむ細菌やその環境に着目して、ぜひ知っておきたい情報をお届けします。
栄養の窓口「腸」
わたしたち人間は、口からモノを食べたり飲んだりしています。それらを消化するための消化器官は、口から肛門まで1本の管でつながっていて、その長さは約9メートルもあります。
からだに入った食べ物は、胃液や胆汁(たんじゅう)・膵液(すいえき)で分解されます。そして、分解された栄養素のほとんどが小腸で吸収されています。分解されなかった残りの食べ物は大腸で腸内細菌が分解し、水分とともには吸収されます。つまり、初めて体内に栄養素が入るのは「腸」からなのです。腸は、栄養素を取り入れる窓口といえます。
更に腸は、栄養の入り口を守る“関所”のような働きをするとても重要な器官です。消化管を通して入ってくる栄養を吸収する際、腸は有害な物質を排泄します。有害菌などが侵入しようとするなら、何重にもバリアを張って体内への進入を阻止しようとします。もし有害菌が体内へ侵入しても、リンパ球が攻撃することで、人体を守ります。
小腸 = 十二指腸+空腸+回腸
栄養素を吸収する小腸は、実際には、十二指腸、空腸、回腸の3つからなります。これらを合わせて、長さは約6~7mあります。6~7mですから、たとえば、消防車の長さ、マイクロバスの長さぐらいに相当します。これが折りたたまれるように、わたしたちのおなかの中に入っています。小腸の内部は無数のヒダに覆われていて、食べ物はこのヒダを通って、だいたい2~4時間くらいで消化・吸収されます。
小腸よりも短い大腸
大腸とは、盲腸、結腸、直腸の3つのことをいいます。長さは、およそ1~1.5mほどです。大腸内の神経細胞は、小腸から入ってきたものの固さを自動的に判断して、排便に適した形状にします。下痢や便秘になるのは、この機能がうまく作用しなかった結果というわけです。個人差がありますが、およそ24~72時間かけて、ゆっくり便の製造と排泄作業が行われます。
腸内に棲む微生物たちの種類・数・重さは?
腸内細菌を分析する技術の進展に伴い、腸内に棲む多種多様な微生物の存在が次々と判明し、その種類は徐々に増加傾向にあります。現在の研究では、腸内には、およそ100種~3500種類以上、その数は100兆個~1000兆個以上の細菌がいるとされています。
人間の細胞の数が全部でおよそ60兆個といいますから、細菌の数は、それをはるかに上回っています。
腸内で細菌たちは、同じ種類の菌たちで群をなしています。それがまるでお花畑のように腸の壁面をおおって生息していることから、「腸内フローラ(腸内細菌叢)」と呼ばれています。重さに換算すると1.5~2.0キロほどの微生物が、わたしたち一人ひとりの腸内に存在していることになります。
腸は「第2の脳」
さらに、腸が「第2の脳(セカンド・ブレイン)」とも呼ばれていることをご存知でしょうか。腸は脳に次いで、2番目に神経細胞の数が多い臓器。また、人間のからだは脳が指示を出すことで動きますが、腸に限っては指示を受けなくても24時間止まることなく自律的に動いています。こうした特徴から、「第2の脳」と称されます。また、以前KOSMOSTライブラリー(『脳と腸』)でも取り上げましたが、脳と腸はコミュニケーションするあいだがらでもあるとのこと。最新の科学では、腸と腸内微生物と脳が、共通の生物言語を用いて対話していることを明らかにしつつあるそうです。
【バックナンバー】
知菌・育菌しよう① 腸は「第2の脳」~小腸・大腸の長さは?働きは?~ (現在の記事)
知菌・育菌しよう② 腸の中にお花畑!? 腸内フローラとウェルネスの関係
知菌・育菌しよう③ 年齢とともに変化する腸内フローラ・バランスをより良い状態にするには?
知菌・育菌しよう④ 便は健康のバロメーター ~形・色・においで腸内フローラ・バランスをチェック
知菌・育菌しよう⑤ 軽視していませんか? 便秘のもたらす健康リスク
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