乳酸菌生産物質
2022.08.22

乳酸菌生産物質とは⑦ 腸内細菌学の巨人、光岡知足が唱える「バイオジェニックス」と乳酸菌生産物質

乳酸菌生産物質・バイオジェニックス・腸内細菌

乳酸菌生産物質の普及に大きな影響を及ぼした研究者がいます。元東京大学名誉教授・理化学研究所名誉研究員の光岡知足氏です。細菌と人のからだとの関係に注目した光岡の研究は「善玉菌」「悪玉菌」といった言葉を生み、乳酸菌生産物質とも共通するバイオジェニックス」という概念に結びついていきます。乳酸菌生産物質のサイドストーリーとして、腸内細菌学の巨人、光岡氏の足跡を紹介しましょう。 

 

乳酸菌生産物質の発展に大きな影響を及ぼす 

乳酸菌生産物質の研究そのものには直接関わっていませんが、その発展に大きな影響を与えた偉大な研究者がいます。元東京大学名誉教授・理化学研究所名誉研究員の光岡知足氏(1930 - 2020)です。光岡氏が唱えた「バイオジェニックス」は、まさに乳酸菌生産物質の存在そのものともいえるものでした。光英科学研究所の村田も、光岡氏に尊敬の念を抱き、晩年には交流を重ねました。

 

パイオニアとして腸内細菌を研究する

1930年、千葉県市川市に生まれた光岡氏がこの分野に関心を抱くようになったきっかけは高校時代、植物学者でもあったある先生との出会いでした。1950年、東京大学獣医学科に入学。その後、大学院に進み、腸内細菌の研究をスタートします。しかし、最初に光岡氏が取り組んだのはヒトではなくニワトリの腸内細菌だったそうです。 

光岡は、当時の腸内細菌研究について「ほとんど手つかずの領域で、学問的な土台などなきに等しい状況」だったと著書で振り返っています。 

腸内細菌・研究

 

腸内細菌については、種類を分類する以前に、そのための基本技術となる細菌の培養法すら確立されていませんでした。そこで光岡氏は、さまざまな栄養分を混合させて独自の培地を開発しました。パイオニアゆえに相談できる相手もほとんどなく、すべて自分で仮説を立てて検証し、答えを出していかなければなりませんでした。 

やがてこのような地道でユニークな研究が次々と実を結んでいきます。 

1958年、理化学研究所に入所。その後、ドイツに留学するなど、腸内細菌学のパイオニアとして精力的に研究に取り組み、その成果は世界が注目するものとなったのです。

 

善玉菌・悪玉菌の名づけ親となった研究者

たとえば「腸内フローラ」など、私たちがよく耳にする腸内細菌に関わる知識も、多くは光岡氏の研究が基礎になって生まれてきたものです。じつは、あの「善玉菌」「悪玉菌」の名付け親も光岡氏です。 

このような親しみやすい表現には、光岡氏の研究に対するスタンスが如実に表れています。 

細菌の研究というと、分類や新種の発見、その性状の観察などに注目が集まりがちです。しかし、光岡氏は、そこからさらに踏み込んで、「人のからだにどんな影響を及ぼすか?」ということに光を当てています。善玉菌・悪玉菌といったあまり学術的でない呼び名には、そんな想いが込められているのです。 

腸内細菌・光岡知足・パイオニア

乳酸菌生産物質にも共通する「バイオジェニックス」を提唱

さらに光岡氏は晩年になると、腸内細菌に関わる概念として「バイオジェニックス」を提唱します。この概念のポイントは「生きた菌・死んだ菌に関わりなく腸の健康、ひいては全身の健康に寄与する」ことであると語っています。

最近、腸内細菌については「プロバイオティクス」という概念がよく知られるようになってきました。このプロバイオティクスが主に生きた菌に焦点を当てているのに対し、バイオジェニックスはそこにこだわらず、死んだ菌やそれらがつくり出す成分の有用さに着目しているところに違いがあります。 

つまり、この「バイオジェニックス」をもう少し具体的にわかりやすく説明するならば、乳酸菌やビフィズス菌などからだによい影響を及ぼす細菌(死んだ菌)と、その細菌が生産する代謝物ということになります。 

そう、それはまさに乳酸菌生産物質そのものなのです。次回は乳酸菌生産物質に含まれる成分やその機能などについてご紹介します。 

 

参考文献・サイト 

https://koei-science.com/labmetabolites/biogenics/ 

大切なことはすべて腸内細菌から学んできた』(光岡知足著)サンダーアールラボ

 

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