毎年、記録的な暑さがニュースになる日本の夏。その一方で、ついつい冷房に依存してしまい、からだのコンディションも崩れがちです。ホリスティック・ウェルネス・アドバイザー、星宏美さんの今回のコラムは、そんな現代の夏を健やかに過ごすためのお話。冷房による「冷え」についても、中医学的な視点からアドバイスしてもらいました。
中医学を現代の夏に応用すると
季節は、暦の上では秋に向かっていますが、あいかわらず昼間は夏のような暑さですし、夜も寝苦しいという日が続いていますね。
夏は、中医学ではふたつの「心」(心(こころ)と心臓)と、体をめぐる気血水を作り出す「脾」と「胃」が影響を受けるということを以前のコラムで紹介しました。
この考え方は、古くからの中医学の基本となるものです。
しかし、現代の日本では、夏の過ごし方もだいぶ変わってきたように思います。その一番の変化は、クーラーの存在でしょう。クーラーはとても涼しくて快適なのですが、からだの不調の原因にもなります。
そこで、昔の時代には想定できなかったクーラーの影響などについて、中医学的な視点から考えてみたいと思います。
からだが冷えると、気血水の巡りが滞る
酷暑の日本の夏では、クーラーはもはや必須ですね。
クーラーがからだに与える一番の影響は「冷え」です。外からクーラーがきいた室内に入ると、はじめはとても気持ちがよいですが、それが長く続くと体が冷えてきます。夜も、クーラーをつけて寝ることが多くなり、冷えを感じることが多いと思います。
体が冷えることで血の流れが悪くなり、肩こりや目のクマに影響したりします。体の中の水の巡りが悪くなることで、浮腫みや胃の不調が起こりやすくなります。
また、外と室内との極端な温度差は、自律神経にも影響します。その結果、夏バテの原因になったりします。
日本の現代の夏では、冒頭に紹介したふたつの「心」、「脾」と「胃」に加えて、「冷え」に対する中医学的な気配りも必要になるわけですね。
冷えを防ぐために3つの「首」に気配り
クーラーのきいた室内では、なるべく体の中から冷えるようなことは避けるようにしましょう。
たとえば、冷たい飲み物をたくさんとると、胃が冷えてしまい不調になります。それが原因となって、気血水の原料を生み出す「脾」が働きづらい状態になってしまいます。もちろん、体の中が冷えれば、肩こりやむくみの要因にもなってきます。
室内では着衣で調整するのが手軽です。「首」のつくところを守ってあげてください。いつも冷えを感じる場所である3つの首、つまり、「手首・足首・首」に気を配りましょう。
手首や足首はウォーマーを使用したり、首はフェイスタオルを巻いて守ってあげましょう。
私は寝る時、喉が冷えないように、薄いフェイスタオルを巻いています。
夏でもからだを温める工夫を
食べものにも気配りが必要です。暑いとついつい生野菜ばかり食べてしまうことが多くなりますが、そこに体を温める性質の食材をプラスして冷えすぎないように調整してあげることも大切です。
中医学的に体を温める食材の代表的なものとして、生姜、にんにく、シソ、ネギなどがおすすめです。
果物は体を冷やすイメージがありますが、さくらんぼ、もも、ココナッツなどは温める効果もあります。
また、手軽にできるマッサージもおすすめです。
足の裏の「湧泉穴」(以前のコラムでも紹介しました)というツボ(足指をぎゅっとやってへこむところ)は、水の巡りをよくしてくれますし、冷えにもきくツボです。
足の小指をよくもんであげると、冷えを取りのぞく効果があります。
暑い夏はついつい「冷たい」に走りやすいですが、あまりに体を冷やすと夏バテの原因にもなります。体の中の冷えすぎに気をつけましょう。