KOSMOSTではさまざまなジャンルのコラムを掲載しています。ホリスティック・ウェルネス・アドバイザーである星宏美さんの今回のお話は、そんなコラムのひとつ、世界を旅するフォトグラファーである石黒アツシさんの記事に触発された話題。お二人のコラボレーションともいえる、魚醤の薬膳的な効能についてです。
今日のコラムは、いつもと違う話題から
以前、KOSMOSTのコラムに、世界を旅するフォトグラファーである石黒アツシさんがベトナムの魚醤「ニョクマム」について書いていました。ベトナムやタイ料理が好きな私は「おいしそう!」と思いながら楽しく読みました。
そこで今回は、薬膳的な視点も交えながら、この魚醤についてお話してみたいと思います。
石黒さんのコラムでも書かれているとおり、魚醤は魚を塩漬けして、微生物のちからを借りて発酵させてつくる調味料。ベトナムでは「ニョクマム」、タイでは「ナンプラー」と呼ばれているようです。
最近では、日本でもすぐに手に入る身近な存在になっていて、私の家にもナンプラーが調味料のひとつとして常備されています。
©Atsushi Ishiguro
魚醤の薬膳的な効能を知ってみよう
石黒さんのコラムでは、魚醤の原料としてイワシやサバ、そして塩があげられていました。
薬膳は、特別な食材のことをいうのではなく、私たちが日常でよく目にする食材すべてを扱います。日本でもポピュラーな魚であるイワシやサバ、塩といった調味料についても、その効能があげられています。
それによると、イワシやサバの効能としては、まず老化防止や血の流れをよくしてくれることがあります。さらに、イワシには、不眠解消、免疫力アップ、脳を元気にするなど、サバには、体力回復、胃の調子を整えるなどの効能もあるといわれています。
また、塩は、消化を助け、便秘の解消を促してくれる調味料とされています。
これらをあわせて考えると、魚醤は、次のようなときに効果が期待される調味料といえそうです。
- 寝ても疲れがとれない
- 血の巡りが悪くて冷えを感じる
- 眠りが浅い
- 最近年齢を感じるようになった
さらに、魚醤は発酵食品という特徴もあり、消化吸収がスムーズといわれます。それも考えると、胃腸の調子がよくないときなどにもパワーを発揮してくれそう。
からだがこんな状態のときに、料理に魚醤を使ってみたり、アジア料理をテイクアウトしてみたりするとよいとかもしれませんね。
日本人のおなじみの醤油にはどんな効能が?
魚醤によく似た、日本人におなじみの調味料が醤油です。醤油の起源は中国にあり、古くに日本に伝わってきたといわれています。そのため、醤油は薬膳でも大切な調味料とされています。
薬膳では、醤油は、からだの中の余分な熱をとる、食欲を増す、不安や鬱の解消などの効能があるとされています。ですから、
- 気持ちが落ちている
- 食欲がない
- 体の中の熱がこもっている
こんな感じがするときには、醤油味の料理を選ぶとよいといえるでしょう。
その日の気分にあわせて発酵調味料を選んでみる
魚醤や醤油は調味料なので、それだけを食すことはないと思います。けれども、その日の体調にあわせて、食材とうまく組み合わせて料理するというのは、ふだんの生活に発酵調味料や薬膳の効能を取り入れる手軽な方法といえるでしょう。
また逆に、魚醤や醤油の香りのものが無性に食べたいと感じるときには、からだが先にあげたような状態になっているのかもしれません。
そういう薬膳的な視点を意識して、日頃から自分のからだに気を配ってあげることはとても大切だと思います。
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