健康なからだでいつまでも暮らしていけるように、常に意識の隅においておきたいのが “健康寿命” のこと。長寿村のすぐ近くで育ったというビオスマイルさんが、子どもの頃の食生活を振りかえり、健康寿命とも密接にかかわる腸内細菌の大切さを共有します。
平均寿命より健康寿命
2020年の敬老の日、日本で100歳以上の高齢者が8万人を突破しました。人口100万人あたりでは世界でトップクラスという長寿国です。平均寿命も男女問わず80歳を超え、まさに人生100年時代の幕開けといえます。100歳なんて夢ではなさそうですね!
”健康寿命”という言葉があります。医療や介護に依存することなく、日常生活を過ごす期間を指す言葉です。平均寿命が延びる度に、この健康寿命を重要視していかなければならないとつくづく思うのです。
健康寿命を延ばすためには、生活習慣がとても大切になります。睡眠、運動、ストレス、趣味、そして何よりも食生活が重要になってきます。
長寿村の食生活から学ぶこと
元東大名誉教授の光岡知足先生の研究の中に長寿村の調査報告があります。
この調査によると、長寿村と呼ばれるある地域の高齢者と東京都内の高齢者の腸内フローラを比較したところ、長寿村の高齢者の方が善玉菌であるビフィズス菌が多く、悪玉菌のウェルシュ菌が少なかったと報告されています。*1
この調査でわかったことは食生活の違いでした。この地域での食物繊維の摂取量は1日平均28gでした。日本人の平均は14g前後といわれているので、およそ倍の食物繊維を日常的に食していたことになります。
じつは私自身、研究で登場した長寿村と呼ばれる地域の近隣で育ちましたので、当時のその暮らしぶりを想像することができます。私の子どもの頃の食生活は次のようでした。
- 近隣にコンビニやスーパーがなかったため、ほとんどが自給自足
- 自然農法でつくった麦やソバなどの穀類を主食とし、季節の野菜、山菜、イモ類、豆類、こんにゃく、トウモロコシなどを常食していた
- 動物性たんぱく質は少なかった
- 季節のくだもの、春はイチゴやイチジク、夏はスイカやキュウリをほうばり、冬は干し柿、漬物は白菜、沢庵、梅干など、お茶まで自家製していた
このような、腸内細菌にとってよりよいとされる食生活を送っていたわけです。素朴で豊かな環境の中で、子どもたちはすくすくと育っていきました。おそらく長寿村でも、日本に古くから伝わる食生活が営まれていたのだと推測します。
腸内細菌と二人三脚で歩む
現代では便利さや美味しさなどを優先しがちですが、できればかつての長寿村のように、腸内細菌と二人三脚で歩む食生活を大切にしたいものです。健康寿命はそこから始まります。
さらに余力がある方は、運動、睡眠、ストレス解消などにも気を配り、より良い健康寿命生活を送っていただけたらと思います。
*1:『人の健康は腸内細菌で決まる!-善玉菌と悪玉菌を科学する―』光岡知足著, 技術評論社, 2011年3月19日 より引用