中医学では、この時期、心(こころ)と心臓という2つの「心(しん)」が滞りやすくなるといわれているそうです。ホリスティック・ウェルネス・アドバイザー、星宏美さんのコラムは、前回に続いて、そんな初夏がテーマ。薬膳的な目線で考える、この時期におすすめの食材です。
春から夏の養生について
夏に向かっていくこれからの時期には、どんな食材をとればよいのか? 薬膳的にお話していこうと思います。
この時期は、立夏が過ぎたとはいえ、完全に夏になったわけではなく、まだ春の流れの影響を受けています。
春は、ストレスがたまったり、自律神経が乱れやすく、中医学でいうと、からだの中の気の「肝」という流れが影響されるといわれます。
また、夏は、心(こころ)と心臓に関係する「心(しん)」が影響され、気持ちが憂鬱になったり、心臓に負担がかかりやすくなります。
したがって、「肝」と「心」というそれぞれの流れをスムースにしてくれる食材を両方取り入れてみるのが、この時期はおすすめです。
春によい食材にはどんなものがあった?
春におすすめの食材については、以前のコラムでお話ししました。改めて代表的な食材を紹介すると、次のようなものがあげられます。
キャベツ、ほうれん草、アスパラ、セロリ、ピーマンなど、緑の食材。春が旬の野菜には、緑のものが多いですね。
また、トマト、イチゴ、レバー(牛鶏豚)、ニンジン、玉ねぎ、山菜類なども、「肝」の流れをよくしてくれるおすすめの食材です。
夏に向けてどんな食材がいいのか?
続いて、夏に向けて食べるとよい食材を、薬膳的な目線であげていきましょう。
●あん肝、イワシ、アーモンド、牡蠣、サフランなど。
これらの食材は、鬱さや心配ごとで眠れないといった、夏に起こりやすい「心」の流れの不調を整えてくれるといわれています。また、心臓とも関係している血の流れを元気にしてくれます。
イワシや牡蠣はこの時期、スーパーの売場でもよく見かける食材。サフランは、インド料理やネパール料理などでサフランライスとしても使われているので、ランチなどでテイクアウトするときに選んでみるのもいいかもしれませんね。
●緑茶、ジャスミン、ウーロン茶、コーヒー、紅茶など。
これらのお茶たちも夏に向けて心を穏やかにしてくれる作用があります。飲みものなので、食事よりも手軽にとることができます。
また、おうち時間が増えて、家でアルコールを楽しむ人も増えていると思います。赤や白のワインも夏におすすめといわれていいます。過ぎることは何でもよくありませんが、適度に楽しむならよいですよね。
春と夏という2つの季節が行ったり来たりする時期は、心やからだのバランスが崩れがち。ほうれん草やキャベツを使った料理でワインを楽しんだり、食材選びに気を配って、体の不調を上手に取り除いていく方法をぜひ見つけてください。