ホリスティック・ウェルネス・アドバイザー、星宏美さんのコラムです。このところ、ずっと季節と中医学や薬膳の関係をご紹介してきましたが、今回は少し視点を変えて、中医学による季節と色と臓腑の関係についてのお話です。ちなみに秋の色は「白」だそうです。
五行色体表にある5つの色
以前のコラムでもお話したことがありますが、中医学では五行色体表が考え方の基本になっています。
この五行は、木・火・土・金・水。まずはこれが基本となります。
そして五行をベースとして、関連する季節や臓腑が割り振られていますが、その中には、色も含まれています。
この5つの色は「五色(ごしき)」と呼ばれています。よく見かける五行色体表には、この5つの色をベースに色分けされて描かれているものが多くあります。
この五行と色や季節の関係を簡単に説明しましょう。
木(もく)は、木々のことを表しています。ですから、緑という色と関連することもイメージしやすいと思います。また、関連する季節が春であることも、草木が芽吹いたりする時期なのでわかりやすいですね。
火(か)は、めらめら燃える火のことです。これも赤や夏と関連が深いことは理解できると思います。
けれども、あとの3つは日本人の感覚にとってなかなかイメージしづらいかもしれません。
土(ど)は、年4回ある土用の時期のことで、関連する色は黄。
金(きん)は金属を表して、秋と白。
水(すい)は流れる水のことで、黒と冬。
いずれも中医学や薬膳独特の視点からきている考え方です。
季節と色と体調の関係
また、五行色体表には臓腑も記されています。このように五色は、臓腑や体調とも大きく関わりあっています。
たとえば金の列を見てみましょう。関連するものとして、秋、肺、大腸、白があげられます。
中医学では、秋は変化を感じやすい季節で、肺や大腸に影響が出るといわれています。
また、顔色や肌色が白っぽくなると、この2つの臓腑に不調が現れやすく、それらの不調を改善するためには、白い食材をとることが効果的と考えられています。
残りの4つの行の関係も同じです。
朝、鏡をのぞいてみて、顔色が赤や黄、黒っぽいなと感じたときは、表にある臓腑を思い浮かべてみましょう。ちなみに緑には「青」の意味もあり、顔色でいうなら、青っぼかったり青筋がたっているような状態をさします。
季節の色にあった食材を選んで体調管理
いまもお話したように、顔色がいつもの違うときはその色にあった食材を選ぶというのが中医学における健康法の基本です。
たとえば代表的な食材としては次のようなものがあげられます。
緑
小松菜、ほうれん草、キャベツ、パセリ、ピーマン、セロリなど
赤
スイカ、トマト、クランベリー、ニンジン、鮭、マグロなど
黄色
ジャガイモ、かぼちゃ、さつまいも、トウモロコシ、など
白
豆腐、山芋、梨、りんご、牛乳、豆乳など
黒
きくらげ、黒豆、わかめ、昆布など
秋が深まってくるこれからの季節、関係が深くなる臓器は肺と大腸」。白い食材を選ぶようにして、肺の乾燥からくる咳や腸内環境の乱れに気を配りましょう。
季節それぞれに大切な色があることを意識して、中医学を上手に毎日の暮らしに取りいれてくださいね。