きりっと身心が引きしまるような冬。その寒さが好きな人もいれば、苦手な人もいます。どちらにしても、長い冬を心地よく元気に過ごしたいと思うのは誰もが同じはず。ホリスティック・ウェルネス・アドバイザーである星宏美さんが、薬膳という目線から冬におすすめの食材を紹介してくれます。
冬はからだの気を巡らせて元気に
前回のコラムで、中医学には、元気に関係する臓器【腎経】と、からだの水分代謝に関係する腑【膀胱経】があるというお話をしました。冬は、これらの気の流れが滞り、元気がなくなったり、むくみや冷えを感じやすくなります。
中医学や薬膳の発想からいうならば、この【腎経】の【膀胱経】の巡りを意識することが、冬を心地よく過ごすためのポイント。それらをサポートしてくれる食べ物を選ぶことが大切になります。
冬は黒い食べ物を意識して食べてみましょう
中医学には、五行色体表というものがあります。その表にもとづくと、【黒】は冬に属する色。黒い色の食材は、冬の気の巡りを手助けしてくれると考えられています。
そこで黒い食材をあげると、黒豆、黒米、黒ゴマ、クルミ、栗、きくらげ、もずく、わかめ、昆布など。
直接食べなくても大丈夫です。鍋の出汁に昆布を使ったり、お菓子の黒豆をご飯と一緒に炊いたり、ひと工夫するだけで手軽に黒い食材をとることができます。
冬の気の流れをサポートしてくれる食材
色を意識するほかにも、冬に気を巡らせたり、補ってくれる食材があります。
たとえば、次のような食材は、元気や成長にかかわる気の流れをサポートしてくれるといわれています。
黒米、小麦、栗、枝豆、キャベツ、ブロッコリー、マッシュルーム、ブドウ、エビ、豚肉など。
最近では、黒米が入った五穀米などを簡単に炊けるパック商品も多くあります。また、温野菜やシチューなどでも、これらの食材を手軽にとることができます。
からだの水の流れを良くする食材
また、冬にからだのむくみを感じる人には、水の巡りを良くしてくれる食べ物がおすすめです。たとえば、白菜、ゆうがお(かんぴょうのもと)、ブドウなど。
ゆうがおは、最近スーパーでも見かける野菜です。このコラムを読んで興味を持ったら、ぜひ食べてみてくださいね。
また、白菜やブドウも秋から冬にかけてよく目につく食材です。このように薬膳を意識してスーパーを歩いてみると、また違った見え方がして楽しいと思います。
トータルで冬を巡らせる
冬の食卓というと、私はまっ先に【鍋】が思い浮かびます。じつはこの鍋は、薬膳の視点から考えると、とても冬にふさわしいお料理なのです。
まず、出汁に昆布を使うと、気の巡りを手助けすることができます。白菜は水の巡りをサポートし、豚肉は元気にかかわる巡りにかかわります。
このように、その日の体調にあわせて食材を選ぶことで、冬のからだを元気にしてくれるのですね。
寒い冬に、お家でほっこりからだにあわせた鍋を食べてみるのはいかがでですか?
ぜひ、食材選びに薬膳的な目線を取り入れて、冬を心地よく過ごしていきましょう。