おいしいこと
2022.04.01

【レポート】おうちで味噌づくりオンライン・ワークショップ2022

味噌づくりワークショップ・オンライン

2022年2月23日に、KOSMOST主催の味噌づくりオンライン・ワークショップが行われました。初心者も経験者も、子どもから大人まで男女約30名が手前味噌を仕込みました。

 

「発酵」は世代間の共通テーマ

今年で2回目となるKOSMOST味噌づくりワークショップでは、前回よりも参加者の層が多様になりました。母娘、姉妹、親子・孫の3世代など世代を越えたチームで和気藹々と味噌づくりをする姿が、オンライン越しに見られました。また、異なるプロフィールの参加者達が同時に味噌を仕込むことで、いろいろな質問や体験を共有することができ、味噌を通して「発酵」が世代やプロフィールを超えて、共通テーマになると実感したワークショップとなりました。味噌づくり・ワークショップ・オンライン

 

味噌づくり・ワークショップ・オンライン

微生物の手仕事とも言える発酵食品の多くは、微生物たちが活動しやすい温度や湿度を、私たち人間が整えてあげる必要があります。麹や醤油と比べて、お味噌は最小限の手間でもきちんと発酵してくれるのが特徴。ですので、初心者でも取り組める、比較的作り方が簡単な発酵食品です。多様な参加者と仕込むにもぴったりな食材です。

味噌づくりの基本的な流れは、秋の大豆と米の収穫の後、冬に仕込み、夏の熟成を経て、次の秋には出来上がるというもの。その間、手間がかかるのは初めの仕込、2、3か月後に行う天地返しの2回のみです。放っておいても、微生物が活動して、気づけば熟成しているという魔法のような発酵食品です。それでいて、美味しくて腸活にも嬉しい効果が期待できます。

この体験を共有したいという想いから、毎年ワークショップを企画しています。

 

味見と観察が醍醐味の手前味噌づくり

味噌仕込みは前日からはじまります。乾燥大豆を浸水し、ワークショップ開始時間までに茹で大豆を参加者が用意します。当日は、味噌の座学の後、ゆでた大豆をつぶして、塩と米麹を混ぜ入れて、容器に入れて仕込みは終了。要した時間は約45分です。味噌仕込みのプロセスは実にシンプルです。

“はっこうちゃん。”の手前味噌づくりワークショップでは、味見と観察を推奨しています。材料である乾燥大豆は浸水すると豆の形が変わります。また茹でるとさらに豆が大きくなります。茹でたてのお豆は優しい味がします。また、生の米麹そのものを味見すると、麹菌の働きによって分解されたブドウ糖の甘みを強く感じることができます。材料の味や香りを知り、味噌を仕込んでから熟成していくまでの変化を五感で観察すると、発酵食品への理解が深まります。手前味噌ならではですね。

ワークショップのときにも、まだ味噌になる前の素材本来の味をみんなで味わい、感想を言い合いながら、進めました。無農薬大豆や生の米麹などは、思い出の味になったのではないでしょうか。

手前味噌づくり・味噌仕込み

 

手前味噌を通して、自分の味噌をデザインする

手前味噌の良さは、自分好みの味噌をデザインできることです。はじめての味噌づくりは失敗しない基本レシピで行います。2回目以降の方は、自分の好みに合わせて味噌レシピをデザインしていくことができます。麹選び、大豆と麹のバランス、塩分量などを変えて味噌づくりを続けていくことで、独自の味噌レシピがデザインできるようになります。

2回目の参加になる方々は、今回、塩分控えめの味噌に挑戦しました。塩分を控えることで、塩の防腐効果は減るため難易度が上がります。ただ、ワークショップ後もいつでも質問できるKOSMOSTコミュニティがありますから、安心して秋を迎えていただけるでしょう。

今回は白米麹と発芽玄米麹の2つを用意しました。市販で手に入る米味噌のほとんどが白米麹由来で、一般的に食されている味噌の味です。一方、米麹の中でも発芽玄米麹で仕込む玄米は、素朴で複雑な米味噌になります。味噌の広がりを感じてほしいと思って用意した発芽玄米麹を、経験者の多くが選んだのが印象的でした。好奇心の高さを感じました。

 

時代を超えて、継承できる手前味噌

一度、手前味噌ができると、それをスターターに、時代を超えて味噌を継いでいくことができます。味噌を仕込む時に、前回仕込んだ味噌の一部を種みそとして混ぜ込むことで、雑菌の入りやすい仕込み初期に微生物環境を整え、発酵菌優位にすることができます。

また、手前味噌には賞味期限がありません。冬に仕込んだ味噌は夏を越えて、約半年後から食べごろを迎えます。味噌はずっと熟成を続けますが、発酵菌が優位な状態が続きますので、腐ることはほぼありません。たまに10年味噌を見かけることがありますが、驚くことではないことがわかりますね。

 

同じ日に、同じ材料、同じ配分で仕込んだ味噌ですが、それぞれ手前味噌の発酵度合は十人十色。この先、参加者それぞれの想いで味噌をデザインしたり、継いでいったりすると、唯一無二の味噌になっていくことでしょう。楽しみですね。味噌づくり参加者のコミュニティでは、お互いの手前味噌の自慢をしたり、味噌を使ったレシピを共有したり、これからの味噌の変化を楽しむダイアログの機会を設ける予定です。

 

 

【アーカイブ】

【レポート】オンライン味噌づくりワークショップ「手前味噌をつくろう」2021

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はっこうちゃん。

はっこうちゃん。

発酵現象は微生物がおりなす芸術だと感じている発酵研究人。原点は「食べることが好き」。食のワークショップだけでなく、美と健康に関わるグローバル企業にてブランディング、マーケティングに長年従事した経験を活かして、「発酵」を思考起点とするブランディング、ライフスタイルを探求している。 -------- Q. 腸をよりよくするために、気をつけていることは? →A. 一日のうち12時間は腸を休めてあげる(何も食べない)、常温の水を飲む   Q. 腸活で気になっていることは?  →A. 足、腸、脳の相互連携 ------- 🦠注目のコラム →余ったご飯でつくれる「お米酵母」~“はっこうちゃん。”の発酵あそび ------- 🦠 はっこうちゃん。の記事一覧

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