「旅・写真・ごはん」をテーマに、世界中を旅する「旅行家・写真家・食事家」、石黒アツシさんが書き綴るコラム。トルコ料理の2回目は、イスタンブールのマーケットで見つけた、トルコ版の飲むヨーグルト「アイラン」のお話です。
アナトリア半島は文明の発祥の地
トルコの空の玄関があるイスタンブール国際空港は、イスタンブールのヨーロッパ側にあります。ボルボラス海峡を渡って東部に渡ればアジアの大地で、トルコの国土のほとんどはそのアナトリア半島にあります。
古代ローマ時代からの遺跡も残るアナトリア半島の東岸はエーゲ海に臨んでいて、エーゲ海の向こうはギリシャです。のんびりとしたリゾートや別荘地が多くあります。北側には黒海がありますが、こちらは少しひなびた土地です。太古の昔、トルコの人たちは中央アジアからカスピ海沿岸をまわり、アナトリア半島の東側からこの地にやって来たのだそうです。
そうそう、自分も勘違いをしていたのですが、トルコの首都はイスタンブールではなくアンカラです。アナトリア半島中央部に位置していています。アナトリア半島には、奇岩に家を作り人々が住んでいるカッパドキアや、白い多くの棚に温泉が流れるパムッカレなどの観光地が点在しています。そして、このアナトリア半島には紀元前8000年から人々が住んでいたそうで、文明の発祥の地とも言われています。
チーズとヨーグルトで乳酸菌たっぷりの朝ごはん
カッパドキアでは、朝日があがる時間に熱気球に乗って、大地に広がる奇岩を眺めるのが人気のアトラクションです。(冒頭の写真です)ホテルに戻ってから朝食のテーブルに着くと、皿には様々なチーズが盛られていました。前回お話ししたように、中央アジアからやって来た乳製品はトルコの伝統食のひとつです。
あらためて地図を眺めてみます。トルコの西にはブルガリアが位置し、東はジョージアからカスピ海と、ヨーグルトで有名な土地に挟まれています。ヨーグルトの語源はトルコ語で、その発祥もトルコであるという説もあるようです。
上の写真は、チアシードとたっぷりのハチミツをかけたヨーグルトですが、このくらいのたっぷりの量を朝食にいただくようです。ちょっともったりとしたタイプで酸味が少なく食べやすいと感じました。
ヨーグルト飲料「アイラン」は家庭で作れます
イスタンブールのスーパーマーケットで、乳製品コーナーを覗いてみると、様々なヨーグルト商品が並んでいました。特に目を引くのが、ボトルに入った「アイラン」というヨーグルト飲料です。
日本の飲むヨーグルトは、のみ口の良い液状の飲むヨーグルトですよね。食べるヨーグルトと比べても、乳酸菌の数や働きや成分に違いはないそうです。違うのは製造工程で、飲むヨーグルトは固まったヨーグルトを攪拌して軟らかくして液状にしています。
トルコのアイランも液状で飲むタイプのヨーグルトですが、日本の飲むヨーグルトとはちょっと違います。
- アイランの作り方:
ヨーグルト100gと水100㏄、塩ひとつまみを入れて泡立てるようによく混ぜる。
アイランはこのように、水で割ったヨーグルトなんですね。ですから飲むヨーグルトよりもさらにのど越しがよくてグイグイと飲めます。トルコの大部分を占めるアナトリア半島は乾燥しているので、気候に合っているんですね。
上はドライブインにあった瓶入りのアイランです。カフェやレストランでは食事と一緒にアイランを飲む人たちも多くいました。
ちなみに日本でも2013年に「アイラン」が大手乳製品のメーカーから市販されたようですが、今は見かけません。とは言え、作るのは簡単なので、ぜひご家庭でトライしてみてください。
(参考)明治ブルガリアヨーグルト倶楽部
https://www.meijibulgariayogurt.com/special/drink-yogurt/comparison.html
All photos by Atsushi Ishiguro