「旅・写真・ごはん」をテーマに、世界中を旅する「旅行家・写真家・食事家」、石黒アツシさんが発酵食品を語るコラム。タイの調味料といえば、魚醤のナンプラーがよく知られていますが、日本と同じように大豆を発酵させたお醤油もあるそうです。
スコータイの遺跡群をバイクで巡る!
タイの代表的な調味料と言えばお馴染み、「ナンプラー」ですよね。魚醤の一種で、イワシなどの魚を発酵させて作ります。あまり知られていませんが、ナンプラー同様によく使われる調味料が「シーユー」です。聞いた感じ「しょうゆ」に似ている通り、大豆を発酵させた調味料です。日本の醤油に、淡口、濃口、甘口といった味の違いがあるように、シーユーにも3種類あります。
タイ北部を巡る旅で訪れたのがスコータイでした。70平方kmの広大な土地(意味があるかどうかわかりませんが、東京ドーム約1500個分の面積です)に、200を超えるスコータイ王朝の遺跡が点在しています。スコータイの街(遺跡の外の人が住んでいる地域)からスコータイ公園まではバス(トラックの荷台に座席がついたもの)に乗って、入り口で自転車を借りる人が多いようです。
私は思い切って町の宿でスクーターを借りて出かけました。風切って走ると爽やかで気持ちがいいんです。それに、かなり遠くの遺跡まで出かけることもできます。おすすめです。
おひるごはんに食べたチキンのカシューナッツ炒め
さて、お昼時になればおなかがすきます。ある日は街道沿いの食堂でチキンのカシューナッツ炒めを食べました。店員さんのおすすめです。
食べてみると「甘い」んです。しかもソースの色が濃い。そして、あのナンプラーの魚の香りがないので、「これナンプラーなの?」とお店の人に聞いてみると、「ソーイソース」だと教えてくれました。大豆のソースだから醤油というわけです。それが、初めて意識してシーユーを使った料理食べた経験でした。(それ以前にも食べていたかもしれません。)
3つのシーユーの味比べ
上の写真、左が「シーユー カウ」で商品名は「ソイビーンソース」。淡口の醤油です。近畿の薄口しょうゆに似ていて、塩味が効いています。炒め物やスープの味付けなどに使うそうで、そのまま生のつけだれとしては使うことはないそうです。
真ん中が「シーユー ダムケム」で濃口。漢字で「黒醤油」と書かれています。商品名は「ブラックソイソース」。シーユーに糖蜜と食塩も加えたもので、風味付けやコクを加えるために使うそう。
右が「シーユー ダムワン」で、これはとっても甘く「ブラックスィートソース」と言われています。砂糖とブラックシュガーが入っていて塩味は少な目。ほかの調味料や香辛料と一緒につけだれにも使われます。しょうが、にんにく、唐辛子などと混ぜれば、タイの名物カオマンガイ(ゆで鶏とゆで汁で炊いたご飯)のたれになります。
シーユーダムで炒め物を作ってみました
シーユーダムケムを使って、鶏肉と油揚げとナッツの炒め物を作ってみました。スコータイで食べたチキンのカシューナッツ炒めの、あのほっこりとさせてくれる甘じょっぱさを思い出しました。
[All photos by Atsushi Ishiguro]
タイ食材と調味料の説明と使い方 (asiasian.com)