せかいのこと
2021.01.08

発酵を止めてつくるポルトワインの深い甘み(読了時間 : 3分)

ポルトガルのドン・ルイス1世橋

ポルトは、ポルトガル北部、ドゥエル川沿いに広がる絵本のように美しい港町。世界中を旅する「旅行家・写真家・食事家」、石黒アツシさんの今回のコラムは、このポルトから船積みされる特産のワインのお話です。その深みのある甘さの秘訣は、発酵のコントロールにあるそうです。

ポルトワインは日本でもおなじみの味

「ポルトワイン」はポルトガルのポルトで作られるワインの一種。実は日本でもおなじみです。サントリーの創業者、鳥居伸治郎氏が1907年に世に出したのが「赤玉ポートワイン」。ポートはポルトが語源です。その後、1973年には名前を「赤玉スィートワイン」に変え、1977年にはカジュアルに楽しめる炭酸入りの「赤玉パンチ」を発売。その頃に安全地帯が歌ったCMソング「ワインレッドの心」が大ヒットしました。

といわけで、ポルトワインは昔から日本人に馴染みのあるワインなんです。

ポルトガル北部の港町ポルト

ポルトガルの首都リスボンから特急列車に乗って3時間ほどで、ポルト・カンパニャン駅に到着しました。ポルトの街の中心を南北に分けるのがドゥエル川。大西洋まではほんの数キロです。

市街地の標高は100メートルほどなので、ドゥエル川河畔へは急峻な土地を降りることになります。標高差はカバー写真に写ったドン・ルイス1世橋を見ていただけばよくわかります。この橋は2階建てになっていて、上の部分は車、人、路面電車が走り、崖の上の標高100メートルの地域をつなぎます。下の川面に近いほうは、クルマと人が往来して、両岸を結びます。

また、高台と河畔を上下に結ぶケーブルカー、ロープウェイ、屋外エレベーター(エレベーターだけの公共の建物)もあって、乗り物好きにはたまりません。

ポルトガルのポルト・カンパニャン駅

河畔には、オレンジ色の屋根に白壁の建物が並んで、港町らしい風景です。特に川の南側にはポルトワインのワイナリーがいくつもあって、ここからポルトワインが世界へと船積みされます。

ポルトの樽が並ぶワイナリーへ

歴史あるポルトワインの老舗「Offeley(オフリー)」のワイナリー

歴史あるポルトワインの老舗「Offley(オフリー)」のワイナリーは、坂道にある大きな白い建物です。1日に何回か見学ツアーがあり試飲もできます。

ポルトワインの老舗「Offeley(オフリー)」のワイナリー

シーンと静まりかえった暗い蔵の中には、たくさんのワイン樽が積みあがっています。ドゥエル川の上流にはブドウ畑があり、まずはそこで栽培されたブドウを現地で樽詰めまでを行います。その後、この港町の蔵まで川を下って運ばれて、出荷までの間に熟成されます。

樽の中で眠っているようなワインですが、まだまだ発酵のプロセスが進んでいるんですね。

酵母の働きを止めて作る「酒精強化ワイン」

ポルトワインの老舗「Offley(オフリー)」のワイナリー

「酒精強化ワイン」は、ワインが発酵している途中でブランデーを入れて、糖分を発酵に使われないようにしてしまう、という製造方法で作られます。発酵のプロセスを止めて、ブドウの糖分を残すんですね。発酵はアルコール度数が高いブランデーと混ぜられると止まってしまうんだそうです。

ポートワインのOffley

ポルトワインの種類は、色合いで分ければ「ルビー」、「タウニー」、「ホワイト」、赤・黄金色・白です。いずれもしっかりとした甘さで深みがあり、とても飲みやすい。でも、アルコール度数は20度前後ということなので、飲みすぎ注意です。

ポートワインOffley のルビーとタウニー

左がルビー、右がタウニー。一緒にツアーに参加したアメリカ人のご夫婦は、もうここが3軒目で、朝から試飲を続けているということ。ちょっとご機嫌な状態になっていました。街歩きをしながら、あっちこっちのワイナリーに寄りながら、自分の好みのポルトワインを探すのも楽しそうです。

赤玉の物語 赤玉スイートワイン サントリー (suntory.co.jp)

(All photos by Atsushi Ishiguro)

 

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石黒 アツシ

石黒 アツシ

「旅・写真・ごはん」をテーマに、世界中のおいしいものを食べ歩き、食文化を写真に収め、日本で再現してみんなと食べることをライフワークにしている「旅行家・写真家・食事家」です。KOSMOSTのコラムでは、これまで旅先で食べてきた発酵食品を、皆さんと一緒に楽しみたいと思います。-------- Q. 微生物とともに生きるライフスタイル」で大切にしていることは? → A. おいしい発酵食品を、おいしくいただいています。

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