せかいのこと
2020.11.08

ブルガリアのソフィアで麦芽発酵飲料を朝ごはんに

ブルガリア・ソフィア・麦芽発酵飲料

ブルガリアというと、すぐにヨーグルトが思い浮かびます。けれども、ほかにも伝統的な発酵食品がたくさんありそう。「旅・写真・ごはん」をテーマに、世界中を旅する「旅行家・写真家・食事家」、石黒アツシさんが書き綴るコラム。今回は、ブルガリアのローカルなペイストリーショップで出会った麦芽発酵飲料のお話です。


ブルガリアの首都、ソフィアを歩いて

ブルガリアの首都ソフィアは、バルカン半島の中心に位置することもあって、歴史上重要な都市でした。人口は1500万人ほどでそれほど大きな街ではなく、市内の見どころならどこでも歩いて行ける距離です。冒頭の写真は街のシンボル聖ソフィア像です。1989年まではレーニン像が置かれていた場所に作られたそうです。

また、東方正教会の巨大なキリスト教の大聖堂、オスマントルコによる支配の時代から続くモスク、ユダヤ教のシナゴーグがすぐそばに建っています。多様な生活スタイルを持つ人々が、この小さな盆地の街に住んできたのだと実感できます。

さて、今回注目したのは、ブルガリアの人たちの毎日の生活に欠かせない「発酵麦芽飲料」です。

名前のないペイストリーショップへ

ブルガリア・ソフィア・朝食

朝早く、「ソフィアの人たちならではの朝食の楽しみ方を体験できるよ」と地元の若い女性のガイドさんと、名前のないペイストリーショップに出かけました。目印は白い壁に青い格子です。

ブルガリア・ソフィア・朝食

通りの角に立っているので中は明るく、母親と子供、ご夫婦などのお客さんが入っていて、のんびりとした雰囲気でした。奥の角にカウンターがあって、ここでお目当てのペイストリー「パニッツァ」を買います。

ブルガリア・ソフィア・朝食

売っているのは、ほうれん草のものとチーズのものの2種類。量り売りなので、手で大きさを示して切ってもらいました。

ブルガリア・パニッツア・フィロ

パニッツアは、「フィロ」というトルコ発祥の薄い生地を重ねて作ります。オスマントルコ時代に伝わったものだと言われています。ブルガリアはその南側で、トルコと国境を接しているんですね。

こんがりと香ばしく焼かれた表面に、内側はしっとりとして、シンプルに味付けられた具が美味しくいただけます。

一緒に乳飲料と発酵麦芽飲料「ボザ」を

ブルガリア・アイリャン・ボザ飲み物はブルガリアならではものを2つオーダーしました。1つはやっぱりブルガリアですから、アイリャンというヨーグルトドリンク。そしてもう1つが「ボザ」という発酵麦芽飲料です。

ブルガリア・ボザ・麦芽発酵飲料

ボザは麦芽を発酵させてつくる飲料だそうで、ブルガリアの子供なら小さい時から飲んでいるそう。麦芽を発酵させると聞けばビールが思い浮かびますが、このボザにも1%ほどのアルコールが含まれているそうです。

味は、香ばしい麦芽の香りがしてすっきりとした甘みがあります。トロっとしているところは、ツブツブはありませんが、甘酒に似ています。

ビタミンも豊富ですが、発酵して発生する乳酸菌が腸内フローラの形成にいいそうです。また、ガイドの女性が、「実はボザを飲むと、女性の胸が大きくなると言われています」と教えてくれました。母乳が出やすくなる効果があるので、そう言われるそうです。

(All photos by Atsushi Ishiguro)

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石黒 アツシ

石黒 アツシ

「旅・写真・ごはん」をテーマに、世界中のおいしいものを食べ歩き、食文化を写真に収め、日本で再現してみんなと食べることをライフワークにしている「旅行家・写真家・食事家」です。KOSMOSTのコラムでは、これまで旅先で食べてきた発酵食品を、皆さんと一緒に楽しみたいと思います。 -------- Q.「微生物とともに生きるライフスタイル」で大切にしていることは? → A. おいしい発酵食品を、おいしくいただいています。 -------- 🦠 石黒アツシの記事一覧 ------- 🦠石黒アツシwebsite

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