乳酸菌たちがつくりだす有用な成分、「乳酸菌生産物質」についてシリーズでご紹介しているコラム。今回は、いよいよ最終回です。「腸活」や「肌の保湿」など、乳酸菌生産物質に期待されるはたらきや、さらにその先に広がる新しい可能性を紹介します。
(2022年9月29日公開、2023年5月24日更新)
乳酸菌生産物質をさらにパワーアップさせる大豆成分
乳酸菌生産物質は、その名のとおり、乳酸菌が発酵することによって生産(代謝)されるさまざまな成分のこと。また、そればかりでなく、培地として用いられる豆乳の成分も含まれています。
大豆はとても栄養価が高く、「天然のサプリメント」といわれることも。たんぱく質に加えてビタミンやミネラル、脂質など多様な成分を含み、さまざまな健康メリットがあるといわれています。
つまり、乳酸菌生産物質を図式化すると、次のようになるわけです。
乳酸菌の生産物 × 大豆の成分
どうでしょうか? ますます期待が高まりますよね。
「肌の保湿」「ペット」「アスリート」…ますます広がる乳酸菌生産物質の可能性
さて、その成分についてより詳しく、乳酸菌生産物質のパイオニアである光英科学研究所がメタボローム解析という技術で分析したところ、350以上もの有用物質が検出されたそうです。
また光英科学研究所と大学との共同研究により、乳酸菌生産物質に含まれる「トリリノレイン」という成分が、肌の保湿効果や皮膚炎症などに役立つことが見いだされました。乳酸菌生産物質の飲用が、皮膚のバリア機能や水分保持に良い影響をもたらすという光英科学研究所の研究結果は、海外の論文にも掲載されています。(Skin Pharmacology and Physiology, 34, 2, 103 – 114)
このように「腸活」だけにとどまらず、乳酸菌生産物質の新しい機能に関する研究が進められ、独自の特許も申請されています。
また、乳酸菌生産物質のユニークな使われ方のひとつに、犬や猫などペットのサプリメントがあげられます。最近、「腸活」は、人間ばかりでなく、ペットの間でもちょっとしたトレンド。何かとストレスの多いペットたちの健康づくりに乳酸菌生産物質がひと役かっているわけですね。
このほか、光英科学研究所ではアスリートとタイアップして、乳酸菌生産物質をコンディションづくりなどに役立てる研究開発にも取り組んでいるそうです。これからさらに新しい働きが解明され、画期的なサプリメントが発売されるかもしれません。
ちなみに光英科学研究所では、錠剤からカプセル、液体までさまざまなタイプの乳酸菌生産物質を提供しています。
さて、これまでさまざまな角度から光を当てて乳酸菌生産物質をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか? 私たちにとって一番身近ともいえる微生物がつくりだす、乳酸菌生産物質。もしも関心がうまれたら、ぜひ、毎日の健康づくりにとり入れてみてください。
参考文献・サイト・論文
https://koei-science.com/labmetabolites/
『不老腸寿』(村田公英著)幻冬舎
Effect of Lactic Fermentation Products on Human Epidermal Cell Differentiation, Ceramide Content, and Amino Acid Production; 2021年04月
発表情報; Skin Pharmacology and Physiology, 34, 2, 103 - 114
著者; Otsuka, Moe; Tamane, Tsuyoshi; Tokudome, Yoshihiro
【バックナンバー】
乳酸菌生産物質とは① 細菌たちがつくりだす成分
乳酸菌生産物質とは② 乳酸菌たちをめぐる基本知識
乳酸菌生産物質とは③ ヨーグルトのはじまりと乳酸菌生産物質
乳酸菌生産物質とは④ 乳酸菌生産物質のキーパーソンたち
乳酸菌生産物質とは⑤ 乳酸菌の共棲培養を育んだ情熱
乳酸菌生産物質とは⑥ 人の腸をお手本に「共棲培養」を深める
乳酸菌生産物質とは⑦ 腸内細菌学の巨人、光岡知足が唱える「バイオジェニックス」と乳酸菌生産物質
乳酸菌生産物質とは⑧ 350以上もの成分を含む乳酸菌生産物質、保湿もペットもアスリートにも?! 注目が集まる理由 (現在の記事)