暑い夏はなんとなく胃の調子がよくなくて元気も失われがち。このようなからだの状態を中医学では「気虚」(ききょ)というそうです。ホリスティック・ウェルネス・アドバイザー、星宏美さんに、この気虚の原因と未然に防ぐための食材について話を聞いてみました。
夏に起こしやすい「気虚」
今回は、夏に気を配りたい中医学の「気虚」(ききょ)についてお話していこうと思います。
中医学では、胃腸では「気」がつくられるとされています。
梅雨や夏の時期、胃の調子を落としたり、食欲が落ちてしまったりすることがあります。すると体の気を失いやすくなり、この状態を中医学では「気虚」といいます。
気虚は、字から見てもわかるように「気が空っぽの状態」「気が足りない状態」のことです。
暑くなっていつも以上に冷たいものを食べていませんか? 冷たいものばかりをとっていると胃の機能が低下し、気をつくりにくい状態になってしまいます。
薬膳的に胃の調子を整える食材は?
気虚にならないようにするポイントは、まずその源となる胃腸を元気にすること。
薬膳的にみると、胃をサポートしてくれる食材は次のようなものがあげられます。
白米、燕麦(オートミール)、サツマイモ、ジャガイモ、キャベツ、山芋、黒豆、栗、ハスの実、とうもろこし、枝豆、シラス、アンチョビなど
白米は私たちの日常で欠かせない食材ですが、食欲のないときはおかゆにすると食べやすくなります。
最近よく耳にするオートミール。これをスープに入れて、さらっと食べるのもいいと思います。
夏になると目にするトウモロコシも、コーンスープにしたりすると、手軽に胃をサポートしてくれます。
暑くなってくると、ついつい冷たいものを口にしがちですが、胃の調子が悪いときには冷たいものは避けて、胃をいたわってあげましょう。
気を補ってくれる食材もおすすめ
気の原料となるのは、食べものです。したがって、日頃口にする食材に気を配ることでも気虚を防ぐことができます。薬膳では、次のような食材が気を補ってくれるといわれています。
白米、餅(もち米)、サツマイモ、ジャガイモ、山芋、ナツメ、枝豆、カボチャ、トウモロコシ、ブドウ、モモ、アンチョビ、エビ、マグロ、たこ、豚肉、甘酒、酒かすなど
先ほどの胃のところでも出てきた白米は、気を補ってくれる効能も持ち合わせています。
また、山芋は手軽すって食べてもいいですし、漢方薬でも山薬(さんやく)という名称で補気剤として使われるほど、気を補ってくれるのでおすすめです。
薬膳をイメージさせる食材でいうと、ナツメがおすすめです。乾燥ナツメは、お茶に入れるだけで「薬膳茶」になるので、持ち歩きしているお茶に入れて気を補えるので、とても手軽です。
フルーツのモモやブドウも気を補う食材です。特にモモは、体を温める性質も持っているのでおすすめします。
甘酒は「飲む点滴」ともいわれていますが、中医学でも気を補ってくれる食材とされています。調味料として使ってもいいですし、つくる時間がない時には市販のものをとるのもいいですね。
汗のかき過ぎにも注意して
汗のかき過ぎにも注意が必要です。必要以上に汗をかいてしまうと、汗と一緒に気が体外に出てしまい、気虚を引き起こしやすくなります。
以下のような食材が汗のかき過ぎをサポートしてくれるといわれています。
あんず、トマト、ココナッツ、ゴーヤ、ズッキーニ、キュウリ、パイナップル、梅 メロン、レモンなど
これらの食材は、熱を取り除いたり、夏バテを予防してくれたりする効果も期待できます。フルーツはジュースにして飲んでみるのもいいかもしれません。
いかがでしたか?
夏になると疲れやすいという方も、今回紹介した食材を上手に組み合わせて、気虚を起こさない体づくりに役立ててください。暑い季節は、暴飲暴食を避けて健やかな胃に気配りしたいですね。