夕暮れが早く夜が長い冬は、中医学的にみると陽の気が不足がちなのだそうです。そうでなくても、体調にはいっそう気をつかいたいシーズンですよね。ホリスティック・ウェルネス・アドバイザーである星宏美さんに、冬の健康管理にぜひ取り入れたい「気の流れ」について聞いてみました。
冬に良いからだの気の巡らせ方
冬に深く関係する気の流れには、まず「腎経(じんけい)」があります。
この「腎経」は「元気」に大きく関わり、流れが巡らないと「元気がなくなる」「疲労を感じる」などといった不調が現れやすくなります。
「腎経」の始まりは、足の裏側にあります。「湧泉穴(ゆうせんけつ)」と呼ばれるツボです。足の指全体をキュッと丸めると足裏にへこむ部分があります。ここが「湧泉穴」になります。
この足裏のツボを刺激してあげるための基本は、歩いたり立ったりすること。寒いからと面倒がらず、なるべく歩くように心がけましょう。
そうはいっても、冬は行動が鈍りがち。そんな日は、「湧泉穴」を揉んでみてください。
親指や手のひらの指の付け根などを使って、「湧泉穴」のまわりを気持ちよいくらいの強さで揉むのがコツです。ツボ押しの棒などを使ってもかまいません。
ただし、押しすぎはNGです。中医学では、ツボに触れるだけでも気の流れが巡るともいわれています。
逆に歩き過ぎて疲れたときなどは、「腎経」を過剰に刺激してしまっていることがあります。そんなときは、「湧泉穴」をほぐすようにやさしく揉んであげましょう。
冷えやすい、むくみやすいと感じたら
冬に気を配りたいもうひとつの気の流れが「膀胱経(ぼうこうけい)」です。からだの水分代謝に関係しています。
この流れが巡りにくくなると、「トイレが近い」「腰回り、足回りが冷えやすい」「むくみやすい」などの不調を感じやすくなります。
「膀胱経」の流れは、からだの後ろ側の真ん中を通っています。ざっくりいうと、頭の後ろからかかとまでを結んだラインです。
ですから、「膀胱経」を刺激するためには、からだの背面を意識することがポイント。先にあげたような不調を感じたら、からだの後ろ側を伸ばしてあげましょう。
腕を突きあげるように伸びをしたり、前屈をしたり、簡単なストレッチで「膀胱経」の巡りを刺激することができます。
自然界のリズムに近い生活を意識すること
中医学には、「昼が陽、夜が陰」という「陰陽論」があります。
この「陰陽論」的に考えると、昼が短く夜が長い冬は、陽の気が少なく、陰が強い季節ということになります。
このような冬に、陽の気を蓄えるためには、しっかりと寝ることが良いとされています。さらに寝ることによって、元気の流れである「腎経」もチャージされるといわれます。
また、「早寝」に加えて「遅起き」も意識してみましょう。
なぜかというと、冬は、夜が明けるのも遅いからです。日がのぼって陽の気が満たされから起きることで、陰の強い冬に陽の気をしっかり取り込むことができます。このほうがからだも冷えないので、「膀胱経」も巡りやすくなります。
いつもより30分でも早く寝て10分でも遅く起きるといった「早寝遅起き」で、気の流れを整えて、元気に冬を乗りきりましょう。