長い雨が続いて蒸し蒸しする梅雨の時期、中医学的には「胃」と「脾」の2つの臓腑が影響を受けやすくなるといわれます。ホリスティック・ウェルネス・アドバイザー、星宏美さんのコラムは、前回に続いて、この梅雨の季節がテーマ。「胃」と「脾」にやさしい身近な食べ物をご紹介します。
>梅雨に意識したい、中医学的な気配り ─「胃」と「脾」をいたわる
「気血水」のバランスを整える
前回のコラムでは、梅雨の季節は、中医学的には「胃」と「脾」の2つの臓腑に気を配りましょうというお話をしました。
食べたものを消化するのが「胃」。その消化されたものを原料にして「気血水」を生み出しているのが「脾」です。中医学では、「気血水(きけつすい)」が体に通っているとされます。「気」は生命活動を営むエネルギー、「血」はいわゆる血液、「水」はリンパ液などの体液などを意味します。これら体の中に流れる3つのバランスが整うことが健康にとっては大事です。「気血水」のバランスがよい状態を「中庸(ちゅうよう)」と呼び、からだが健康な状態をさします。
「胃」がしっかり働かないと、「脾」も活躍できません。これからの梅雨の時期は、この2つの臓腑に負担をかけず、サポートしてくれる食材を選びましょう。
梅雨に「胃」と「脾」の働きをサポートしてくれる食材
「胃」と「脾」の働きを整えてくれる食材としては次のようなものがあげられます。
じゃがいも、さつまいも、山芋、白米、オートミール、大麦、米麹、大豆、なつめ、キウイフルーツ、グレープフルーツ、りんご、玉ねぎ、とうもろこし、にんじん、茄子、牛肉、鶏肉、うに、シラス、味噌、みりん、しょうゆ
どれも日常に目にすることの多い食べ物だと思います。
たとえば、なつめなども最近では海外食材を扱うお店などで手軽に買うことができます。そのまま食べてもおいしいですし(プルーンみたいな感じ!)、砂糖漬けしていないものはお好みのお茶に一粒入れるだけで簡単に「自家製薬膳茶」をいれることができます。
また、消化不良を起こしているときは、オートミール、大麦、キウイ、グレープフルーツなどがおすすめです。朝ごはんに、大麦とオートミールが入っているミューズリーとフルーツを組みあわせてみるのもよいでしょう。
梅雨には温かい味噌汁もおすすめ
肉類は胃に負担をかけるイメージがあるかもしれませんが、牛肉は胃腸を強くする働きがあるといわれます。胃腸が冷えて食欲がないときなどに適度にとるとよいと思います。
また、トウモロコシや茄子は、梅雨の時期に感じやすいからだのむくみにもよい作用があるといわれます。
調味料にも「胃」と「脾」を整えてくれるものが多くあります。私のおすすめは味噌!
梅雨の時期は気温の変化が大きく、体感が不安定になり、お腹の調子が悪くなりがちです。そんなとき、味噌は冷えた臓腑を温めてくれます。私はよく味噌汁をつくっています。
「胃」と「脾」を整えてくれる食材には、すぐに手に入ったり家に常備しているものが多くあります。梅雨を上手に過ごすために、身近な食材を使って、食べ物や食べ方をひと工夫してみてはいかがでしょうか。
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