冷たい風に首をすくめることも多くなって、今年も冬がやって来ようとしています。秋から冬への変わり目はからだも不調になりがちなシーズン。ホリスティック・ウェルネス・アドバイザーである星宏美さんに、中医学的に気を配りたいことをお聞きしました。
秋から冬へ、変わらず続く気をつけたいところ
だんたんと冬の気配を感じるころになりました。まだまだ先と思いつつも、あっという間に冬はすぐそこに近づいています。今日は中医学的に、冬に向けて気をつけたいことをお話したいと思います。
秋になると、ドラッグストアなどでもハンドクリームやボディクリームが店頭の目立つ場所に置かれ、目にすることも多くなりますね。肌や髪の乾燥が徐々に強くなります。乾燥に影響されやすい秋は、体の外側も内側もうるおいを持って元気に過ごしたいものです。
中医学では、「この季節を元気に過ごすことができると、次の季節も元気に過ごすことができる」と言われていますから、いまのうちに寒くなる次の冬に備えて、ケアしていきましょう。
冷えが強くなる冬におこるからだの変化
暦上で、「寒露」や「霜降」という言葉が出てくるのは10月。寒くなってきたのを文字からも感じられます。11月に入れば、いよいよ「立冬」。体感として、乾燥だけではなく、肌寒さも感じるようになり、さらに身震いする寒さを感じれば、冬の足音ですね。
なんといっても、冬は寒さがどんどんと強くなっていきます。
冬には、中医学では、元気に関係する臓器【腎経】と、体の水分代謝に関係する腑【膀胱経】が滞りやすいとされています。
中医学では、「気血水(きけつすい)」が体に通っているとされます。「気」は生命活動を営むエネルギー、「血」はいわゆる血液、「水」はリンパ液などの体液などを意味します。これら体の中に流れる3つのバランスが整うことが健康な状態とされています。
冬は「水」の流れが大きく関係しています。流れがうまくいかないと、体の水の部分が停滞し、膀胱経が影響して、体の末端が冷えたり、体が浮腫むなど、「水」に関係する不調が起こりやすくなります。
寒いと、ついつい外に出る機会も少なくなり、体力も他の季節よりも落ちやすくなりますが、そのことにより、元気に関係する流れである【腎経】が影響をうけます。腎経は、精にまつわる場所でもあるので、成長や老化にも大きく関連しています。
秋のうちからできる冷え対策
さいごに、冬支度として秋のうちからできる、冷え対策をいくつかご紹介します。
ひとつは、元気が落ちないように、足腰をしっかり使い、歩くことをオススメします。
また、そもそも、体に冷えが入らないようにすることも大切です。それには、体の「首」の部分を冷やさないようにします。首、手首、足首・・・。この部分から「寒邪(寒いと引き起こされる邪気)」が入ってきやすく、入ることで風邪をひいたりする引き金となるので、「首」がつく部位を温めてあげるようにしましょう。
まずひとつは、元気が落ちないように、足腰をしっかり使い、歩くことをオススメします。
そして、足の裏側には「湧泉穴(ゆうせんけつ)」というツボがあります。ここは元気が流れているツボのひとつなので、足の裏を意識して歩くことで、元気のめぐりも良くなってきます。歩けないときは、ツボを押してあげるのもいいですね。足指をキュッとするとへこむところが湧泉穴の目安になります。
さらに、丹田(たんでん)という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。おへその5センチくらい下にあるツボですが、ここから腎の気が作り出されるといわれるので、丹田を温めてあげるのもいいですよ。
今のうちから、しっかりと体のめぐりを整えて、寒い冬に備えていきましょう。