暑さで疲れ気味の夏はさっぱりしたお酢の風味がからだにうれしい季節。ホリスティック・ウェルネス・アドバイザー星宏美さんが、お酢の魅力を中医学や薬膳の目線から読み解いてくれました。
いろいろ種類のあるお酢、どんな効能が?
KOSMOSTのコラムは、私自身が書いたもの以外にも目を通すことが多く、とても勉強になっています。特に石黒アツシさんのコラムは、世界にはどんな食べ物があるのか? 食べられているのか? というテーマで目が行くこともしばしば。こちらのコラムは、台湾の朝ごはんについて書かれていて、薬膳や中医学にも関係が深く、興味津々に読ませていただきました。
その中で出てきたのが「酢」。
私達が食べている「穀物酢」や「米酢」だけではなく、台湾や中国では「黒酢」「香酢」というのが身近な酢だとのこと。これっていったいどういった効能があるのか? というのが気になり、中医学や薬膳の目線で調べてみたくなりました。
私自身、小さいころから「酢」(穀物酢)がとても好きで、身近なものでした。
母が毎年つくってくれていたラッキョウの甘酢漬けが出来上がるのが待ち遠しかったり、餃子やシュウマイのたれにも酢は欠かせないし、ラーメンを食べるときも酢をたくさん入れてしまいます。そして我が家の息子は、酢飯が好きです。
人それぞれに好みもあると思いますが、穀物酢は酸味が強く、煮物などに使われます。米酢は穀物酢に比べるとマイルドな感じで、ドレッシングやマリネなどに向いていることが多いようです。
このお酢を、中医学や薬膳の目線で読み解くと次のような効能が期待されます。
お酢の持ち味を原料から読み解いてみると……
まず、どのお酢にも共通する味覚は「酸っぱさ」。
薬膳では、「酸味」は収斂(しゅうれん)、固渋(こじゅう)といって、引き締めたり、余分に体液(汗や尿、血など)を外に出さなかったり、という働きを持っています。酢をとることで、引き締める効果があるということですね。
また次のように原料から読み解くこともできます。
●穀物酢 → 原料:小麦・コメ・トウモロコシ
小麦は不眠を解消したり心の穏やかさを与えたりしてくれます。お腹の張りや下痢の緩和にも。
米(うるち米)は、補気や胃の調子を整え、トウモロコシはむくみを取り、胃の調子を整えてくれます。
●米酢 → 原料:お米
米は、体の気を補い、胃の調子を整える作用があります。
●黒酢 → 原料:玄米
玄米は補気、むくみを取る、心の安定、胃の調子を整える、老化防止などの効果を持っています。
●香酢 → 原料:もち米、高粱(こうりゃん)
もち米は補気、疲労回復、下痢予防などに効果があります。高粱は胃の調子を整え、元気を与え、胃や脾の弱さを補います。さらにコレステロールを抑える効果があるともいわれます。
これらのお酢のどの原料にも共通しているのは、「胃の調子を整えてくれる」こと。また、香酢に使われるもち米や高粱は、どちらも体を温めてくれる性質を持っているので、冷えの予防にもよいといえるかもしれません。
一方、穀物酢に使われる小麦は、体を冷やす側の性格を持っているので、ほかのお酢と比べた場合、若干体を冷やす効能があるといえるかもしれません。
薬膳的には胃が疲れているときにおすすめ
お酢の薬膳的な効能を整理すると、次のようなものがあげられます。
・おなかの調子を整える
・血の循環や血を元気にしてくれる
・体のいらないものを外に出してくれる
・硬いものを柔らかくしてくれる
・体力の回復
・殺菌効果など
原料からみた場合と同じように、お酢には胃の調子を整えてくれる効能があります。胃が弱っていたりする時は、適度に酢をとるとよいかもしれません。
また、熟成を重ねた黒酢や香酢には多くのアミノ酸が含まれます。疲れやすく、免疫力が下がっていることが気になるときには、これらの酢をとるのもよいかもしれませんね。
私も今回改めて調べて、お酢の新しい特徴に気がつきました。いろんなタイプのお酢を買って、使い分けてみようと思います。