心地よかった秋も過ぎ、木枯らしに首をすくめる冬は、肌の乾燥が気になる季節。うつくしい肌の秘訣は、乾燥をふせぎ、うるおいをキープすることにあります。今回は、私たちの肌にすんでいる「美肌菌」をクローズアップし、肌の保湿力アップのポイントをご紹介します。
肌の保湿力をキープする3つの要素
肌のうるおいというと、化粧水などでたっぷり水分を補給することをすぐに思い浮かべる人がいるかもしれません。でも、ほんとうに大切なことは、うるおいをキープする力、つまり「保湿力」なのですね。
湖だってそうでしょう。いくら豊富な水が流れ込んでも、それがすぐに蒸発してしまったり地中にしみこんでしまうようでは、水は涸れてしまいます。
この肌の保湿力で大きな役割を果たしているのが、肌のいちばん上にある「角層」。保湿のために3つの要素が働いています。
まず1つめは、角層の表面にある皮脂膜によるバリア機能。肌全体を覆って乾燥を防ぎます。
2つめは、角層細胞の中にあるNMF(天然保湿因子)です。その名の通り、NMFは、肌のうるおいのもとであるアミノ酸を多く含み、角層の中に水分を保つ役割を果たしています。
そして3つめが細胞間脂質。角層細胞の間にあり、サンドイッチのように角層細胞を包み込んで守っています。ちなみに最近の化粧品では、この細胞間脂質の中を通り抜けやすい微細なカプセルなどに成分を閉じ込めて、肌の奥へと届くように工夫しています。
「美肌菌」でバリア機能を高めて、保湿力をアップ
さてさて、そこで微生物の登場です。人の皮膚にはたくさんの細菌がすんでいて、美肌にも大いに関係しているという話を前回紹介しました。
なかでも大切なのが、「美肌菌」とも呼ばれる「表皮ブドウ球菌」。皮膚の表面などにすみ、汗や皮脂を食べてグリセリンや脂肪酸をつくり出しています。
このグリセリンには肌のバリア機能を保つ力があります。さらに、脂肪酸は肌を弱酸性に保ちます。その結果、弱アルカリ性を好む悪玉菌の増殖を抑え、健康な肌をキープすることでバリア機能をさらに高めるのです。加えて、NMFや細胞間脂質も健やかな状態になることが期待できます。
空気が乾燥する冬は肌のバランスも崩れがち。スキンケアにも美肌菌への気配りをプラスしてみてください。そんなにむずかしいことではありません。肌の洗いすぎに気をつけること、清潔な状態と保つこと、そして乾燥を感じる部分は水分だけでなく、保湿成分で補ってあげましょう。