5月もゴールデンウィークが明けると、夏の気配が日に日に濃くなって気持ちが浮き立つ季節。けれどもこの時期、なんとなく不調を感じている人も多いのではないでしょうか? ホリスティック・ウェルネス・アドバイザー、星宏美さんの今回のコラムは、初夏にぜひ気を配りたい、2つの「心」のケアについてのお話です。
二十四節気では5月5日が夏の始まり
二十四節気のひとつ「立夏」は、暦の上で夏が始まる季節。今年2021年は5月5日にあたります。
立夏といっても、本来の夏らしさとはまだほど遠いですが、昼間は汗ばむことも多くなったりと、「春とは違うな」と感じる方も多いのではないでしょうか。
さて、この時期はどう過ごしたらよいのでしょうか?
前回のコラムでもお話ししましたが、立夏は、春から夏に季節が移り変わっていく「季節の変り目」。体調を崩しやすい時期です。
昼と夜での寒暖差での体調を壊したり、そのことによって風邪をひきやすくなったりします。外出する際は一枚羽織るものを持って出かけたり、寝る時も朝方の冷えに備えて薄手の布団を用意したりして、体調管理に気をつけて過ごしましょう。
中医学的にみると、からだのどこに影響が?
中医学では、立夏から季節は「夏」へと移り変わります。
また、中医学では、五行といって「木・火・土・金・水」の5つのグループにさまざまなものが分けられると考えられています。それをわかりやすく示した五行色体表を見てみましょう。
参考文献:『実用東洋医学 症状別によくわかる漢方薬・ツボ・食養』
この時期に影響を受ける臓は「心」となります。この中医学でいう「心」は、心臓の心(しん)であり、また、心(こころ)についても示しています。
2つの「心」に気をつける
中医学では、「心(しん)」は、「血」と、血が流れている「血管」やからだに縦に通る気の流れである「経脈」と関係するといわれています。
血の流れがスムーズでないと、心臓の動きも悪くなってきます。
そのためこの時期は、心臓に疾患を持っている方は負荷がかかりやすく、そうでない人でも動悸などが起こりやすくなるとされます。
また、もうひとつ、「心(こころ)」にも影響を及ぼします。
気持ちが落ち込みやすくなったり、くよくよといつまでも考えてしまったり、憂鬱な状態になりやすく、不眠になったりするといわれます。
先日、ゴールデンウィーク後に、いわゆる「5月病」といわれる症状になる人が多いというニュースを目にしました。これも季節が夏に向かうことで、中医学的にいう「心」が影響しているのかもしれないなと感じます。
ゴールデンウィーク明けは、誰もが「あー、現実に戻ってしまった。楽しいことも終わってしまった……」と思いがちですが、そのような気分や体調不良がいつまでも続くような人は、中医学でいう「心」に影響が出ているのかもしれません。
真夏がやって来る前に、からだと心をしっかりケア
この時期、「心」に不調を感じている人は、しっかりとケアして、真夏が来る前に憂鬱感や疲労感が抜けるように気を配りましょう。
「心」をケアするためには、睡眠が重要です。しかしながら「心」の流れが悪くなることで、眠れないという場合もあります。
このようなときは、肩甲骨まわりや背中をほぐしてあげると眠りやすくなるかもしれません。腕と肩甲骨はつながっているので、腕を大きく回すだけでも効果があります。
また、寝具を少し柔らかいものに変えるというのも解決法のひとつです。
次回からのコラムでは、この時期におすすめの食べものや、ストレッチの詳しい方法などについてお話ししたいと思います。お楽しみに!