万病のもとともいわれるからだの「冷え」。ひとくくりに「冷え」といっても、中医学ではいくつものからだの乱れが関わっていると考えられています。ホリスティック・ウェルネス・アドバイザー、星宏美さんの今回のコラムは、前回の「血虚(けっきょ)」に続いて、「水滞(すいたい)」のお話です。
冷えの原因となる「血虚」と「水滞」の違いは?
前回のコラムでは、中医学の「血虚(けっきょ)」についてお話ししました。
この「血虚」とは、からだの中の血が足りなくなること。その結果、血の巡りが悪くなって手足など末端が冷えやすく、めまいやしびれなどがおきやすくなります。「血虚」は、「血」ばかりでなく「気」や「水」など、さまざまなからだの巡りに影響を及ぼし、そこから「冷え」につながっていくこともあります。
さらに中医学では、からだの「冷え」について、この「血虚」のほかにもいろいろな考え方があります。「水滞(すいたい)」もそのひとつです。
そこで今回は、冬の「冷え」についての第2弾として、「水滞」のお話をしようと思います。
冬はからだの水の巡りが滞る季節
「水滞」とはからだの中の「水」が溜まりやすい状態をさします。中医学では、この「水」には唾液、尿、関節液などが含まれます。この水が溜まっている状態を「水滞」といいます。
次のような症状が気になる方は、からだが「水滞」の状態になっているのかもしれません。
・むくみやすい
・汗をかきやすい
・軟便や下痢の傾向がある
・元気がなく疲れやすい
・胃がちゃぽちゃぽしたように重く感じる
・からだがむくんで体形がぽっちゃりしている
以前のコラムでもお話ししましたが、中医学の五行では、冬という季節は「水」にあたります。冬になると、寒さなどからからだの水が巡りにくくなるのです。
その結果、上記のような症状に加えて、「冷え」になりやすいといわれます。
ですから、日頃から「水滞」の傾向がある人は、冬は特に「冷え」の予防を意識することをおすすめします。
黒豆や豚レバーなどは特に効果的
前回の「血虚」と同じように、「水滞」の予防も日頃とっている食材を工夫することが効果的です。中医学では、からだの水の巡りをよくしてくれる食材として次のようなものがあげられています。
玄米、春雨、黒豆、アスパラ、白菜、昆布、わかめ、豚のレバー、ぶどうなど
冬といえば、鍋のシーズン。白菜をたくさん使った鍋などは手軽でよさそうです。また、黒豆や豚レバーは、前回の「血虚」でも効果的とご紹介した食材。血と水の両方の巡りをよくする一石二鳥の効果が期待できます。
また、「水滞」の人は、水分を多くとりすぎたり、冷たいものを好むという傾向がみられます。ふだんの飲みものを常温のものにしたり、白湯をとるようにするといったことも、「水滞」の予防に効果的といえるでしょう。
血の巡りが悪くなったり、水が滞ったり、ひとくくりにからだの「冷え」といってもその原因はさまざまです。中医学を上手に取り入れて食事などの生活習慣を見直し、冬に向けて自分のからだと向き合っていきましょう。