中医学で冬に気を配りたい臓器といわれているのが「腎経」と「膀胱経」。とくに腎経はエイジングにも深く関わるといわれます。ホリスティック・ウェルネス・アドバイザーである星宏美さんの今回のお話は、そんな腎経の巡りをよくする冬の生活の工夫についてです。
老化と腎経の関係 若々しくいるための中医学
以前のコラムでもお話したことがありますが、中医学の五行色体表によると、冬は「腎経」と「膀胱経」という臓腑の気の流れが巡りにくくなるといわれます。
この腎経は、元気の流れだけでなく、人が生まれて年老いていくまでに深く関わっています。
成長にもつながる気の流れでもあるので、子どものうちから、そのツボがある足裏や腰を刺激してあげることがとても重要といえるでしょう。
特に現代では、昔と比べると公園などの遊具も少なくなり、子どもたちが思いっきりからだを動かす場所が少なくなっているように思います。だからこそ、元気に走りまわったり、登ったりするような動きがとても大切になってくるといえます。
それでは、子どもたちよりも運動が不足しがちの大人はどうなのでしょうか?
腎経が通らないと、年齢よりも上に見られたり、どんどん老いにつながってしまいます。これは大変!!
腎経が通っていないときのからだのサイン
中医学では、腎経の巡りが悪いときには、白髪や耳鳴りなど、からだからサインが出てくるといわれます。
また、感情の動きも気の流れに関係します。これは、五行色体表では「五志(ごし)」で表現されています。
腎経と関係する感情としては、恐怖や驚きがあげられます。腎経の流れが悪いときには、いつもよりも恐怖を感じたり、驚いたりするとされます。また逆に、このような感情を抱くと、腎経が傷つくといわれています。
この腎経と感情の関係の話をするとき、私はついつい浦島太郎を思い出してしまいます。
玉手箱を開けると、煙が出てくる場面です。きっと浦島太郎は、私たちが思っている以上にびっくりしたのではないでしょうか? そして、竜宮城でそれはそれは楽しんで、疲れきっていたのではないのでしょうか? そんなときに驚いてしまって、腎経が傷つき、気の流れが悪くなり、一気に白髪になって老けてしまったのかもしれない……と読み解くのです。皆さんはどう感じますか?
老化しらずのからだづくりのために
このように腎経の巡りが滞っているというサインを感じたときは、足や腰をつなげて動かしてみることをおすすめします。
たとえば、軽いジョギング、ウォーキング、ヨガなどは、足と腰をしっかりと動かすので、自分にあったレベルで取り入れてみるのもよいと思います。ただし、やりすぎると疲れて元気がなくなり、腎経が通らなくなってしまいます。適度に気持ちのよい動きを意識して行ってみてください。
また、運動のほかにも、腎経に関係するツボを押したり、ストレッチして刺激してみることもおすすめです。以前のコラムで紹介した足裏のツボ「湧泉穴」をもんだり、前屈をしてからだの後ろ側を伸ばしてあげるのも効果的ですね。
腎経の巡りをよくする簡単ストレッチを動画で紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
寒い冬は、外に出るのも億劫でついつい運動不足になりがち。また、白髪などからだの衰えも気になる季節です。以前のコラムでお話しした冬におすすめの食材もあわせて取り入れて、素敵に年齢を重ねていける自分に近づいていきましょう!