日本には古くから「二十四節気」や「雑節」といった暦があります。中医学では、これらの季節の移り変わりがからだの変化に深くかかわるといわれています。ホリスティック・ウェルネス・アドバイザーである星宏美さんの今回のお話は、年に4回あるという「土用の日」とからだの関係についてです。
夏だけではない、年4回ある「土用の日」
日本には古くから「二十四節気」(にじゅうしせっき)という暦があります。これは1年を24の季節にわけたもので、これからの季節でいうなら、春分や立夏、夏至、立秋などもそのひとつです。二十四節気は中国から伝わった暦で、そのため若干実際の季節と差があります。この違いを補うために日本で独自につくられた暦日に「雑節」(ざっせつ)というものがあります。
誰もが知っている「土用の日」もこの雑節のひとつです。「土用」というと夏をイメージすることが多いと思いますが、実は季節ごとに年4回あります。季節が始まる立春、立夏、立秋、立冬の直前約18日間を示します。
土用は、長雨だったりジメジメしやすい時期といわれます。この時期が過ぎると次の季節が始まるとされ、土用明けの日は節分(季節を分ける日)と重なります。この節分も雑節のひとつです。冬ばかりでなく、土用と同じように年4回あります。
土用は胃腸の調子に気をつけて
中医学では、この土用も季節のひとつに数えられています。中医学のベースとなる五行色体表(ごぎょうしきたいひょう)にも記されていて、臓腑の中でも胃が影響を受やすい時期と考えられています。
ジメジメする影響で、消化不良になったりお腹の調子が悪くなったりするのかもしれません。また、胃腸の不調から、むくみなどを感じやすくなる時期でもあります。たとえば、冬の土用には、寒さでお腹を冷やしたり、お腹の不調から風邪をひいてしまうこともありがちだと思います。
中医学では、からだの中に存在する「気・血・水」は「脾(ひ)」と呼ぶ臓腑によってつくりだされると考えられています。この脾の役割を手助けするのが胃です。
ですから、胃の調子が悪いと、「気・血・水」が不足してバランスが悪くなり、さまざまな不調につながりやすくなります。消化・排泄といったからだの流れが滞り、腸内環境にも影響してくる可能性もあります。
季節ごとの土用の時期を忘れずに、胃の調子に気をつけて過ごしてみましょう。
土用にとりたい薬膳的な食べもの
中医学と深い関わりがある薬膳では、胃の調子を整えてくれる食材として、白米、玄米やジャガイモ、サツマイモなどのいも類があげられています。また、栗、枝豆、生姜、茄子、ニンジン、牛肉、イワシなども手軽にとりやすい食材です。
胃の調子が悪いかな、というときには試してみてください。
ふだんあまり意識しない二十四節気や雑節といった暦も、中医学や薬膳ではからだに深く関係すると考えられています。季節の変化をより細かく意識することで、今まで気づかなかった、自分の体調のサイクルが見えてくるきっかけになるかもしれません。