私たちの腸の中にはたくさんの微生物がすんでいて、それらは腸内フローラと呼ばれています。最近では、犬や猫などのペットたちもそれぞれ違う腸内フローラを持っていることがわかってきました。今回はそんなペットたちの腸内環境と、人間顔負けの「腸活」について紹介しましょう。
犬にも、猫にも。動物たちの腸内フローラ
人間の腸の中には100兆個ともいわれる細菌がすんでいて、からだにとってなくてはならない役割を果たしています。このような細菌たちとの共生的な関係は人間ばかりとは限りません。この地球上にすむ動物たちでも同じです。
となると、気になってくるのが身近な動物であるペットたちの腸内フローラですよね。最近、いろいろな研究が進み、とても興味深いことが次々と明らかになってきました。
犬、猫、飼い鳥、うさぎ、フェレットの腸内フローラを調べた研究によると、それぞれ動物によって腸内細菌の種類やバランスが異なることがわかっています。おそらく食べものの違いなどによるものでしょう。
ちなみに最近人気のペット、ハリネズミについても研究が行われていて、いまあげた5つの動物の中ではフェレットに近い腸内フローラだそうです。
人間の腸内フローラにおける特徴的な菌のひとつにビフィズス菌があげられます。善玉菌の代表選手として知られる、私たちにとって身近な菌ですね。
このビフィズス菌は、生後間もない赤ちゃんの腸内では、細菌の90%以上を占めています。ところが、加齢とともに急激に減り、大人になると少数派になってしまうことがわかっています。
犬の腸内フローラを研究したところ、同じように特徴的な菌がいることが明らかになりました。それはビフィズス菌ではなく、乳酸菌の1種だそうです。同様に加齢とともに減少していきます。
また、猫では、ビフィズス菌でも乳酸菌でもなく、腸球菌と呼ばれる菌が同じような存在であることがわかっています。
ペットたちも「腸活」の時代に!?
ペットたちの場合も、人間と同じように生活環境やストレスが腸内フローラに影響を与えている可能性があることも明らかになってきました。
犬の研究では、「郊外に住んでいる」「散歩の頻度が多い」「同居動物がいる」「歯のケアをしている」といった犬は、そうでない場合と比べて腸内細菌のバランスが多様なのだそうです。
さらに興味深い研究もあります。人間の腸内細菌には「デブ菌」「やせ菌」とも呼べるグループがあり、このバランスが肥満に関係しているといわれています。そこで飼い鳥の腸内細菌を調べたところ、太った飼い鳥には同じような傾向がみられたというのです。
このようにペットたちの場合も、微生物がからだの健康にさまざまに関係しているようです。そうなると、俄然気になってくるのが愛らしいペットの腸内環境ですよね。
最近、健康づくりとして「腸活」がちょっとしたトレンドになっていますが、驚くことにペットたちの間でもこの「腸活」が早くも注目を集めています。すでにペットのための腸活サプリメントが数多く販売されています。犬や猫ばかりでなく、ハリネズミ専用の腸活サプリがあるほどです。
また、「腸活」のための新しいスタイルとして、腸内フローラを検査して生活改善などのアドバイスを提供するサービスが話題となっています。このようなサービスでも、すでにペットを対象としたものが登場しています。
ペット業界のスピーディーなビジネスには驚かされますが、ペットたちは、それだけかけがえのないパートナーということなのでしょう。
身のまわりの動物たちに目を向けると、改めて微生物との関係の重要さに気づかされます。これまでの食生活を見直し、ペットと一緒に健やかな暮らしを再スタートしてみるのもよいかもしれませんね。
Reference:以下の情報を参考に作成しています
https://www.nisshin.com/uploads/170131.pdf
https://www.nisshin.com/uploads/170817.pdf
https://www.anicom-page.com/hakusho/book/pdf/book_201712.pdf